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□『sunny grace:EX』
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番外編的な....




「今日は何にしましょうか…」



何にしようか迷いに迷っている君もかわいいよ…今までは難なく言えた言葉なのに、今となっては心の中でしか呟けなくなってしまった。どうしたんだ、俺‥



「今回の新しいストロベリーチーズケーキフラペチーノも捨てがたいですし、ここは敢えていつものホワイトモカでも‥うぅ」

「ストロベリーソースを更に増やしても美味しいよ」

「苺好きなのでそんな素敵なカスタマイズ聞いたら私‥」



苺好きね、わかった、覚えておく。
食べたいなんて言われた日には農家ごと買い取って君にぴったりな苺を一から作ってそのまま権利ごとプレゼントするよ。



「レンさんは何が好きですか?」

「それは勿論君に決っ」

「レンっ、本音が零れてますっ!!」

「はっ、しまっ‥あ、それは勿論君が選ぶドリンクだったら何でも好きだよ」

「私の好きなドリンク‥」

「う、うん」



ふと虚空を見詰めて思いに耽る春歌はどうやら自分の好きなドリンクを思い出しているらしい。先程うっかり言い掛けた言葉は会話の中に運よく(?)埋まってしまったらしい。いいんだか悪いんだか…いや、いい。こんな中途半端な告白なんて有り得ないっ!!隣レジにいるトキヤの呆れMAXの溜め息が耳に入ってきたけれど、ここは敢えてウインク付きの口パクありがとうで返してみる。あ‥ドン引きされた。



「じゃあ、ショートのアイスアメリカーノで」

「え?‥アメリカーノって苦いよ?」

「昨日あまり寝てなくて‥眠気覚ましといいますか、お子様味覚も直したいし、それにこれ、レンさんがいつも飲んでるので。いつも飲んでるってことは美味しいってことですから」

「あ、うん、好きだよ、大好き、君が」

「レンっ!!」

「アメリカーノが、」



怒号が飛んできて咄嗟に後付け訂正。
危ない危ない‥


「席まで持っていくから2階に行ってていいよ、お気に入りの席まだ空いてるし」

「あ、ありがとうございます」


彼女が階上に上がったのを確認した後、プラカップに『A』と書き込んで、その後に『EX』と『ハート』を書き足した。
最早憐れみの眼差しでトキヤにジト目で見られた上、本日最大の溜め息。



「全くなんですか、その解読不能なドリンクIDは‥」

「エキストラ/ラブ‥」

「……アメリカーノなのに胸焼けが起きそうです」

「直訳は"彼女が可愛くて仕方がなくてこの溢れる想いは止まらない"…かな、」



沈黙。



「ごめん、調子に乗りすぎた」

「休憩、順番変わりますから‥その溶け切った表情を何とかしてきてください。早急に」


手渡された彼女と俺のプラカップ。
眉間に皺寄ってるよ…と指摘すれば、誰のせいですかと叱られてしまった。ごめんと謝れば素直過ぎて気持ちが悪いと言われてしまうし、休憩ありがとうと言えばこめかみを押さえつつ、頭を抱えてしまう始末。

「イッチー、」

「…なんです?」

「いつかはまだ分からないけど、ちゃんと‥彼女に気持ちを伝えるよ」

「いつになるやら、」



早く行くようにと促され、応援してます‥そんな言葉が聞こえて来た。柄にもなく満面の笑みを浮かべてしまって…頬が弛みっぱなしだ。


「恋っていいね、」


独り呟きながら、レンは階上へと続く階段に足を踏み出したのだった。




fine.
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