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□『Tennessee Waltz』
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襖を開けて目に入ったのは敷かれた1組の布団。おかしい。
先刻2組敷いた筈なのに…。ぐるぐるする頭で考えたのだけれど、やはり先程2組の布団を敷いた。間違いなく。
「私は遂に呆けたのでしょうか…」
「片付けたんだよ、俺が。」
「と、歳三さんっ!!」
「布団片付けた位で何をそんなに驚いてやがるんだ?可笑しなやつだな‥」
振り向けば土方の姿。腕組みをしながら苦笑い。ぽかんとする千鶴の隣に歩を進めていつもみたいに頭をぽんと軽く撫でた。
「片付けたって…今夜は一体どうやって寝るんですか?私が布団で歳三さんが畳とか駄目ですからね」
「馬鹿言うな、一緒に寝るに決まってんだろ。」
「………………」
「‥千鶴?」
「//わ、わわわ私と一緒に寝たりなんかしたら蹴られて痣だらけになります。だから」
「動けない様に抱き締めて寝てやるから安心しろ」
「寝言が酷いので煩くて眠れなくなってしまうと思うので…」
「煩くなったら口塞いでやる。」
「ぇええっっ!!」
顔を真っ赤にさせながら千鶴はわたわた。そんな様子を見ながら土方は朗らかに肩で笑った。なにをこんなにも慌てる必要があるのだろうか…だって俺達、
「夫婦だろ?」
「め、めめ…夫婦!!」
「誰が好き好んでてめぇの嫁さんと深い溝挟んで寝たいと思うんだ?」
「せ、世界は広いですから、いらっしゃるかもしれな」
「千鶴、」
「は、はぃぃっっ!!」
肩をびくりと震わせてまるで小動物の様。可愛いなぁと心底思ってしまったけれど、ここは譲らない。譲る訳にはいかないのだ。後退りする千鶴の腕を掴んで引き寄せてから、放って置けば言い訳ばかりしそうな口を塞いでやった。
煩いのなら塞いでしまえ。なんて簡単なことなんだろうか。
「ふ…、んぅ‥」
「分かったか?」
「何、を…」
「これが夫婦ってやつだ。」
the end.