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□『eglantine』
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先程まで手にしていたお気に入りのシャープペンは手の届かない所に転がって行ってしまった。柔らかな絨毯を背にして倒れた千鶴に覆い被さるのは総司。



「…んっ、、」



「呼吸の仕方、こないだ教えたでしょ。」



「…すみ、ません」




「謝らなくていいよ。必死にやろうとする、見るの好きだし…」



身体に触れたりしないでただただキスをするだけ。軽いキスだったり、啄まれたり、唇を舐められたり。気紛れ不意打ちで抉られる様な深いキスだったり…漏れる吐息が嫌に官能的で酷くドキドキした。



「その表情(かお)…もっと苛めて欲しいの?」



「私、今…いじめられてるんですか?」



「僕は苛めてると思ってるんだけど」



「そう、なんですか…」



「君は何をされたら苛められてるって思うの?」



鼻と鼻とがくっついて、視界がぼやけてしまう至近距離。霞んでいる中でも総司が口を三日月にしているのが分かってしまうのがなんとも…あぁ今日は一体何を考えているのだろうかと千鶴は思考を巡らせたけれど、何も思い付かなかった。
というよりは、思い付くという動作の終点まで辿り着けなかった。キスされたり抱き締められたり、考えるという事が既に自分から無くなっていたことに今更気付いたのだ。



「…こうやって、首筋に唇這わせて…舐められたら、苛められてるって思うの?」



「いえ、」



「じゃぁ…ここに、こう‥皆に見られる位置にキスマーク付けるのは?」



「ん…意地悪、されてると思います。」



「意地悪と苛めるって同じじゃないの?」


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