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□『sunny grace:EX7』
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瞼が重くてとてもじゃないけど開けられなくて、頭がぐわんぐわん。決して二日酔い等ではなく、連続徹夜続きの症状だ。
血液が上から下にさーっと音を立てて落ちていく感覚と、身体の真ん中にぽっかり穴の空いたような虚無感。


「ちょっと、だけ‥」


春歌は堪らず、落ち着いた色をした机に広げた五線譜へ力尽きる様に突っ伏。身体は眠りを欲すると強制的に電源を落とすのだ。


『sunny grace:EX7』





「ねぇ、まるで死んだように動かないんだけど‥」


大丈夫なの?そう言葉を続けた藍は隣にいるレンに問いを投げたが、返事は返ってこなかった。レンの向かいには話中の人物、死んだように動かない春歌が目の前にいた。藍が言った通りぴくりとも動かないし、突っ伏しているから表情も読めない。
レンはそのただならぬ様子を両手で頬杖をしながらただただ凝視。藍が適当に呼び掛けても生返事しか返ってくる様子がなかった。


「起こさなくていいの‥?」
「今はほぼ気絶状態だから起こしても起きないよ、自然に目が覚めるまで待つしかない」
「‥このままで大丈夫?」
「、じゃない」
「‥だよね。で、どうするの」
「起きるのを待って、お説教して‥、それから」
「家まで送ってあげる、」


でもさ‥そんな逆接の後に来たのは言葉ではなく差し出された腕時計。そう、閉店10分前。起きる気配は相変わらずなし。
どうするべきか。起きるのを待っていてもいいけれどタイムリミットはクローズ作業が終わるまで、最長0時まで。
起きなかった場合、勿論抱えるなりタクシーなり送って行きたいのだけれど、彼女の家を知らないので無理(ジョージがいるけどその手段は使わない使えない。良心が何となく痛む)


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