いろいろパラレル4

□Love is money 2nd seasonB
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「ねえ、兄さん。ジュニアたちの学園祭行く?」
「いつだっけ」
「今度の金曜日と土曜日だけど」
「いけると思う。あいつら、なんかするの?」
「なんとかカフェと劇みたいだよ」
「どっちが劇?」
「アルジュニア。すごく真面目にやるみたいで、衣装も凝ってるって話」
「だから、あいつ最近帰りが遅いのか…」
「うん、頑張ってるみたい。いいね、青春って」
 ふふ、とわらったアルフォンスに、エドワードも頷きつつ、アルフォンスの淹れたコーヒーをすすった。
「エドジュニアのなんとかカフェってなんだろ」
「よくわかんないけど。来るなって怒ってたよ」
「そういわれると、いきたくなるよな」
「なるよね」
 二人は、くすくすと笑いあった。
 ジュニアたちの学園祭は、一般人の入場を許可してあるので他校生や保護者も来ることができる。カフェ、劇、出店、ビデオ上映会などのクラスの出し物のほか、あとは各クラブでの発表をすることもある。
「楽しみだね」
「うん」


 エドワードもジュニア二人の学園祭りをとても楽しみにして、日々を過ごしていた。
――はずなのだが。
「!?」
「ど、どうしたんですか?エドワードさん」
 急にばっと顔をあげて、カレンダーを見たので、スタッフの一人が驚いたようだ。
「今日、何曜日!?」
「えっと、金曜日ですね」
「なんじ!?」
「午後、三時ですが」
 血の引く音を感じた。ロッカーに入っている鞄をごそごそとあさって、携帯電話を取り出す。もう、何十件の着信。
「うわッ…!」
 すべて、アルフォンスになっている。
「やべえ、オレ、行かないと!」
「あとは、僕でもできますから、いいですよ?」
「わりい!」
 エドワードは、白衣のまま鞄だけを持って、研究室を飛び出した。

 やべぇ!すっかり忘れてた!水曜日から、研究が上手くいかず、泊りがけになってしまっていた。木曜の夜には順調になって、このままいけると思いつつそちらに気が言ってしまって、アルフォンスとの約束を忘れていた。アルフォンスは、午後から有給を使うって言ってたし、午後一でアルジュニアの劇があったはず!
 エドワードは、全速力で走った。もう終わっているだろうけど、行かないといけない。そう思って、ジュニア二人の学校の門をくぐった。
 まだ人はたくさんいたが、出店などは売り切れの札が貼ってあり、どこにアルフォンスがいるのかわからない。
 辺りをキョロキョロ探したが、まったく見当たらなかった。
「…帰ったのかな…」
 あ、携帯。そこで思い出したように、携帯を取り出し、コールしようとした瞬間、「エドワードさん」と声をかけられた。
「ロイジュニア――ッ」
 黒髪のロイジュニアを見つけた瞬間、ふらり、と身体が揺れた。さすがに二日徹夜で走れば身体が悲鳴をあげる。
「エドワードさん!?大丈夫ですか!?」
 ロイジュニアがエドワードを支えるが、エドワードはすぐには動けず、ぎゅっと眉間に皺を寄せたまま目を閉じている。
「保健室行きましょう」
 有無が居えず、エドワードはひょい、と抱き上げられてしまった。
「ッ…」
 膝裏と肩を支え、いわゆるお姫様抱っこをされているのだが、エドワードは文句も言える元気がなく、そのままふ、と意識をなくしてしまったのだった。
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