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□想
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―――いつからだろう・・・
君を、“愛しい”なんて思うようになったのは・・・・・
思えば同棲を始めて早2年―・・・
君が隣にいることが当たり前になってしまった。
「・・・ん・・・平助くん・・・?」
俺の膝の上で眠っていた彼女―千鶴が目を覚ます。
「・・・おはよ、千鶴。」
優しく千鶴の長い髪を梳くと、千鶴は僕をみつめ、微笑む。
「・・・おはようございます・・・平助くん・・・。」
そして、彼女は空に手を伸ばす。
庭の桜が風に揺られて、はらはらと舞った。
「綺麗・・・だな・・・」
俺の掌に桜の花びらがはらりと舞い落ちる。
「ふふ、平助くんに桜って似合いますよね」
「え?」
桜が似合う・・・なんて言われたことがなかったから。吃驚して彼女をみつめる。
千鶴は俺の掌に落ちた花びらを手にとると、空に透かした。