wsの長編

□April
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高校の入学式。
満開の桜が青空に映えるいい日和だった。

「和奏 悠弥。」
「はい。」

返事をした途端、俺は気が重くなった。
新しい環境への不安。
いいことも
わるいことも
0からのスタートだ。

学校は働くことよりも気楽だと思うが、
俺には面倒なだけの毎日だ。
家で株をいじってるほうが金になって
ずっとマシだと思う。

だけど俺は入学した。

きっとこの三年間も理不尽に耐える
退屈な三年間さ。
これまでと同じように。

「斎藤 捺芽。」
「、、、は、はいっ!!」

緊張しすぎて声が裏返ってるぞ、、、。

間抜けな声がした方を見ると、
そいつはバカみたいにヘラヘラしている。
不思議とすごくムシャクシャした。

あーゆー奴は分からないんだ。
そしてつまらない大人になってしまったと、
後から後悔するがいい。

俺はただ単に、
今まで築いてきたものが無になることが、
寂しくてしょうがなかった
だけかもしれない。

そんな喪失感はここにいる新入生全員が、
同じように感じてるだろうに。

そんな不安ももろともしない
アイツの笑顔に僻んでしまったんだ。

きっと、、、。

俺には予感があった。
この三年間が俺を変えてしまうかも
しれないという。

それが幸か不幸か分からない。

しかし俺はこの日
斎藤にめぐりあい、



その笑顔を一生忘れられなくなった。

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