wsの長編

□April
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俺は二年になり、
国立文系コースをとった訳だが、
不運なことに斎藤と同じクラスになってしまった。

前々から苦手意識を持っていたのに。
しかも、、、

「美化委員は希望者ちょうど二名。
 ということで、和奏と斎藤よろしくな。」

やることが少なそうだからと
地味な委員に手をあげたら、
たまたまてを挙げたのが二人だけ
だったので、あっさり決まってしまった。

「よろしく☆」

斎藤はヘラヘラした面で俺に敬礼する。
敬礼は
礼を尽くして敬うって書いて
敬礼というのであって、、、。
アイツの敬礼は世界一
薄っぺらかった。

美化委員の職務。
毎日放課後に教室周辺の掃除をすること。
期待とは裏腹にめんどくさかったorz

仕事的には単純で簡単だが、
放課後に毎日10分でも
斎藤と過ごさなきゃいけないと思うと、
憂鬱だった。

「ゲツガテンショウ!!」
斎藤は期待を裏切らず、
ほうきを斬月と化してはしゃいでいる。

おかげで俺が集めたほこりが空しくも
宙に舞っている。

「なあ、ちゃんとやってくれないかな。
 ていうか、邪魔だけはしないで。」

ついつい地がでてしまって、
ひんやりした言い方になってしまう。

斎藤は一瞬びっくりしたようだが、
すぐヘラヘラした顔に戻って
「わりぃ、わりぃ。和奏。」

そうして斎藤は自分が散らかしたゴミを
集めてかたずけ始めた。

「なんか、おまえの名字って
 名前みたいだな。」
「あ、あぁ。」

俺はひどく動揺した。
和奏。そう言われて、
それが自分の名なのだと、
初めて気付いたようだった。

心臓がうるさくて、
どこか懐かしかった。

春一番に驚かされたように、心を激しく揺さぶられた気がした。

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