wsの長編

□July
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プールの授業は
自由だった。

体育教師は億劫がって
涼しい体育教官室からでてきたがらない。

前日、
テスト勉強で夜更かししかあげく、
そのままの勢いでゲームをやったら
結局オールしてしまった。

つまり寝不足。

しかし、体内のアドレナリンのせいでかえって
空元気だった。





友達と潜水で勝負することになった。

一回も息継ぎせずに、
プールを何往復できるか。

俺は小学校のころ
水泳を習っていたので、
自信があった。

ただ気がかりだったのは、その競争の中に斉藤がいたこと。

全員で八人。
けど俺はその中の1人に
ドキドキした。

無意味なのに。

現に斉藤は俺のことなんとも思ってない。

それなのに
俺だけがドキドキしてるなんて、なんか不公平じゃないか!?

そして不運にも隣のレーンに斉藤がいた。

こいつを意識しながらだと、空気中だって息が持たない。

鼓動が早まるっていうことは、その分空気も送らなくちゃいけないってことで。

斉藤はゴーグルしてても
わかるくらいにヘラヘラしてる。

「俺小さい頃河童になりたくて、川で練習してたから、自信あるんだよね〜。」

かなりどうでもいい自慢を頼んでないのに話される。

全くいつもどうりだ。

俺が河童に突っ込もうか、と迷ってる時に
みんな勝手に潜りだした。

躍起になっておいかけた。

終わったら、文句言ってやる。

ところが、いきなり
身体が重くなった。

プールサイドから飛び込んできた奴が
俺に直撃したらしい。

痛い。

その上、
驚いて全部空気を吐き出してしまった。

ここになって徹夜の疲れがどっときて力が出ないし。

上のヤツは
俺の存在に気づかないらしくなかなかどいてくれない。

あぁ、俺ダメかもしんない。

斉藤...

捺芽...

おまえならどうするんだろう...




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