wsの長編

□May
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懐かしい。

俺は戻ってきた。

体育館の床に
こすれるバッシュ。
音がなる度に嬉しそうだ。

なんたって半年ぶり。

コートが
俺を待っていたなんて
バカなことを考えてしまう。

不覚にもワクワクしている。

俺はバスケ部に入部した。




バスケを始めたのは
10才のとき。

土日を暇でもてあましていた所を、
仲のいい先輩に誘われて
地域のバスケクラブに入った。

もともと体を動かす事が
好きだったから、
すぐに夢中になった。

自分から友達を作るのが
苦手だったけど、
バスケのおかげで仲間もできた。

毎週土日になるのが楽しみで、
平日も空いた時間で練習。


夢中だったんだ。



誰にも負けたくなかった。バスケのための努力なら惜しくない。



中学になって
バスケ部に入部。

俺はやはりバスケに打ち込んだ。

身体の成長に伴って、
スキルもアップ。

一年の後半には
スタメンに入ることができ、大会でいくつかのタイトルも勝ち取った。

中学の青春は
全てバスケ。

そんなふうに言っても過言ではない。

中学の夏の大会で
優勝したあと、
俺は違う高校に
行くことを考えて、
しばらくバスケを休んだ。
ところが、
結局、
エスカレート式で
紫陽学園高等部に
進学することになった。

親と派手にもめたこともあり、
結局入学するまでバスケを休むことになってしまった。

けど、俺は
戻ってきた。

たまらなく幸せだった。


又、星とバスケができる!!





星は一つ上の先輩。

俺をバスケに誘ってくれた先輩。

星とは、
バスケを始める前から
友達だった。

俺は小さい頃から
ずっと星と遊んでいたし、星は俺にいろんなことを教えてくれた。

星がいたから、
紫陽学園に入学したし、
星とのバスケを続けたくて、紫陽学園の高等部に進学したようなものだ。




星はバスケが上手い。

でも、
バスケだけじゃなくて、
それ以外でも俺の憧れ。

星の真似をしたくて、
追いつきたくて、
おいこしたくて。

俺は必死でおいかけた。

中学のバスケでは、
星と俺は
紫陽のゴールデンコンビなんて言われた。

星は俺を高めたがっていた。
俺もそれに応えたくて、
星を失望させたくない。

2人で、バスケやって
誰にも負けないコンビになるのが
俺たちの夢。





「生意気な一年いるなぁと思ったらやっぱりおまえか。」

背が高い茶髪の先輩が、
俺にボールをパスする。

いたずらっこな
笑顔。

俺の
仲間であり、
目標であり、
居場所。

相良 星(さがら ほし)

「先輩が生意気だからさ。後輩だって真似するんじゃねぇの?」

「偉そうな言い方は
変わんねぇみたいだけど、体なまってたら承知しねぇかんな。」

「まぁ、星よりは若いから心配すんな。」

「かわいくね。
俺はおまえのこと待ってたんだかんな、悠弥!」

俺は持っていたボールを、なんなくゴールに入れる。

「ただいま、星。」










又、星との青春が始まる。

それなら、
どんなに学校がダルくたって耐えていける。

俺は星とのこれからが嬉しかった。

全部を失う恐怖を俺はまだ知らなかったんだ。









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