wsの長編

□September
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それから数日は
教室内で生徒会長の話
をよく耳にした。

自然と耳を傾ける
自分がいた。

自分でもなぜ知りたがっているのか、
分からない。

ある意味で、
キャピキャピしている
女子たちよりも
タチが悪いのかなぁ
とも思った。










ここ数日の生徒会長の
評判とはこうだった。





通称ナイト。
内藤を縮めてってとこだろう。
しかし、
かっこいい呼び方に
なかなか似合っている。
俺は彼が
そう呼ばれることが、
なんだか好きだった。


ナイトは

成績優秀
頭脳明晰
才色兼備

と3拍子そろった
言わずと知れた優等生。

教師たちの期待の星らしい。

しかし、
彼を生徒会長に
したのは、
その成績でも、
ルックスでもない。

彼の性分らしい。

おそらく、
俺があの時感じた包容力を、大多数の生徒が感じたに違いない。





とにもかくにも、
人の噂でも、
欠点があげられない、
人間のようだ。

完璧。

それは、
コンピューターなどで作られた精密ではない。

天体のような規則性でもない。

秋の名月のようだと俺は思った。






憧れだと思う。

人々が古来から、
月を神聖視してきた感情に似ている。

崇拝とは、
又違うが、

俺は話したこともない彼に憧れていた。

星に対する
憧れとは又違って。










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