wsの長編

□October
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涼しくなってきた。
ナイトは
長袖のワイシャツと、
カーディガン
といういでたちが
よく似合う。



彼は噂通りの人間だった。


本当に、知的な人だった。

彼の成績表を実際に見たわけではないが、
会話の端々とか、
ちょっとしさ所作に
知的さを感じることが
しばしばあった。

言わずもがな、
ルックスはいいわけで。

細い手首とか

長いまつ毛とか

眼鏡の奥の優しい
眼差しとか

上品そうな唇とか

一つ一つに、
緊張と
ときめきを感じていく。





しかし、
やはり、
ナイトの性格が
一番好きだった。

生徒会長
に求められる
溌剌さには
やはり、
かけているようだった。

しかし、
物事を様々な角度から、
観察し、
誰もが納得できる
案をその都度生み出した。

勿論、
少数派のフォローも
怠らない。

彼には友人がたくさんいた。

彼に相談ごとや
世間話をしに
しばしば様々な友人が
生徒会室にやってきた。

ナイトは、
その話を丁寧にきく。

時折、
彼がかける言葉は、
相手を傷つけることはなくて、
かといって
相手を甘えさせるものでもない。

彼は、
友人の為に
親身になれる。

でも、
彼が価値を置くのは、
人気者の自分じゃなくて、友人一人一人だった。

そのせいか、
彼がよく言われているのはよく聞くけど、
彼が誰かを
なんやかんや言うのを
聞いたことがなかった。

良いことも、
悪いことも。

彼は、
他人を計ったりしない
からだ。

この包容力こそが
この他人を慮る性分こそが

彼を生徒会長に
したのだと思った。
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