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□冬*こたつ*ネコ
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『冬*こたつ*ネコ』






しばらく寝てたら、
斎藤がネコになっていた。





その日は冬休み中で、
お互いに暇だったから、
俺が斎藤の家に遊びに行った。

宿題を協力してやるという名目は、
うわべだけで
テーブルの上のミカンの皮と一緒に散らばっている。

なんとなく、
話すことも一通りはなし終えて、
斎藤のマンガもひと通り読み終わって
こたつに足突っこんで
2人でぼーっとしてた時。

「そいえば、
こないだデパートのお菓子フェアやってててさ。」

斎藤は俺の方に
筒状の缶を投げる。
それは、カラフルな
デザインで、
「フォーチュンにゃんこ
クッキー♪
あなたも猫になっちゃう かも!?」
とパッケージされていた。

又も、斎藤の
小学生センスがいかされているorz

「......猫になっちゃうかもよ。」

俺はできるだけ
明るく言うつもりだったが、どうして棒読みになってしまった。

「いや、でも純粋においしいからっ」

斎藤の手が俺の見ている缶に伸びた。
猫型のチョコレートクッキーがでてきて
斎藤の口に入った。

「マタタビ3%いり
だそうだ。
気を付けろよ!!」

それによって人様に
影響がおきるか分かんないが、
微妙に猫っぽくしようとする所が憎めない(笑)

俺はクッキーを一つ口に運んだ。
残念ながら普通のクッキーだった。

俺はそれから、
なんとなく眠くなって、
斎藤の家にも関わらず、
こたつで寝てしまった。

マタタビを与えられた
猫ってこんなんかなぁと思いながら......

そんなに寝たつもりはない。
時計を見たら30分くらい
しかたってなかった。

斎藤が静かだなぁと思ってこたつから起き上がって
斎藤の方を見たら、

斎藤が猫になってた。

斎藤が居た場所には、
斎藤の服が脱ぎ捨てられ、その中に猫がうずくまっていた。

俺はなんとなく、もっかい缶のパッケージを見る。

「缶の中に一個だけ入ってるチョコレートクッキーを食べると不思議な事が起こるかも!?」

んな、無責任な......

しかし俺は冷静に考え直す。

俺が寝ている間に斎藤が
猫を置いて
自分はどこかに隠れてるに違いない。

.......ってことは
あいつ
全裸じゃん!!!!!!!

流石にいたずらっ子だ
イタズラに命かけるなんて(笑)

俺はまぁ優しさ故にか、
Sっけ故にか、
イタズラに付き合ってやることにした。

「なつめ〜。
おまえ猫のが大人しくていい子じゃないか。」

俺はまさに借りてきた猫面の猫を抱き上げて
自分の方に持ってくる。

「ふにゃ〜」
「猫になっちゃったら、
なーんも言えねぇな。
例えば、
おまえの過去の
あーんなこと、
こーんなこと
俺が口が滑ったとしても
おまえははなんも言えないね。」

「残念だ、なつめ。」

「......それただの猫だぞ」

単純な奴だ。
斎藤はクローゼットの中に隠れたらしい。

「全裸の奴が何言っても、何の説得力もない。」

「ちげーよ!!
これは、修行だから!!!!!」

苦しまぎれでしかない
言い訳だ。

「あーそー
じゃあ俺は修行の邪魔しないように帰るよ。」

斎藤はクローゼットの中から出て来て俺にすがりついてきた。

「お、おい。裸でしがみつくなよ!!」

「さ、寒かった。」

こたつの中で
裸の斎藤を抱きしめてるなんて、
俺らはバカップルでしか
ないじゃん///

にゃんこはマイペースにも、又斎藤の服の中で眠り始めた。

フォーチュン
幸運にも。

ちょっとアホみたいだが、俺は幸せすら感じていた。

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