アリスと暴君兎
□その一本毛の守り方
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『っは、はぁ…はー…もうムリ。』
全力疾走で走って走って…
…もう疲れた。
足動きませーん、乳酸ー重いよーう
疲れ果てた私は、走るのをやめ、乳酸がたまった重い足を、引き摺りながら歩いた。
あの人、追っかけてこないよね…
チラリと後ろを振り返り、誰もいないことを確認して、大きく息をはいた。
もしあのとき、
頭突きが思いつかなかったら、私は三つ編み男と今ごろベッドの中。
転入初日で処女喪失
笑えねーーー!
あんな奴が同じ学校にいるかと思うとヒヤヒヤするわ。
他の女子も大変だろうなぁあ〜
…て、やばいやばい。
職員室にいく時間、完全に過ぎてる。私、一応転入生だからね。
いきなり、あんなことがあったもんだからすっかり忘れてたわ
ポケットに入れてある携帯で時間を確認すると、軽く二十分はオーバーしていた。
そして、母からのLINE。
"学校ついてる?
さっき夜兎工の先生から連絡あったけど。ファイトp(^_^)q "
なにが?
ファイトってなに。意味わかんねーようちの母。
一応、"ついてます"と返事をして、携帯をスカートのポケットにいれた。
このまま帰宅するわけにもいかず、とりあえずは挨拶しようと思い、
丁度壁に設置されていた校内案内板で、職員室を探した。
『よかった、近い』
現在地と職員室はすぐ近く。
…それにしても、職員室の場所に赤いペンで矢印がひかれ、"波平在り"って書かれていたのはなぜだろう
そんなことを思いながら、
だいぶ重さがなくなった足で職員室へと向かった。
──−
職員室につき、
扉の前で、約束の時間に遅れた理由を頭のなかで整理していた。
…とりあえず謝って、
不良男子に拉致され、
最後は三つ編み男に捕まえられ、
逃走しましたってことを伝えよう。決して私は悪くない。よし。
扉に手を掛けようとしたとき、
急に向こうから、勢いよく開いた。
『あ、こんに…ち…』
「お前、今日転校してくる奴か?」
扉を開けた人物は、
教師とは思えない目つきの悪さと、口元には整えられた髭。
そして、
某アニメの厳格な父を想像させるような、残念だが、どこか貫禄のある頭髪の人物だった
その一本毛の守り方
どうやって守ってますか
それは、必要ですか