アリスと暴君兎

□嵐の予感
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思わず直視して、わかったことが一つ


この人には、一本毛など存在していなかった。

そう、正真正銘の、



「それ以上いっちゃあ、
さすがのおじさんも、教師だけど転入生殴っちゃうかもなァ〜

おじさん、いい年して加減できないんだよなァ〜」


『ですよねー』


てへ、と舌をだして、この場を回避。この人からでる殺気はちょっとヤバかった。


どうやら、毛髪に関してとても大きなコンプレックスを抱いてる様なので、ノータッチでいくとする。



「お前、戸智亀校からきた矢沢憂だな?

てめぇなんで20分も遅刻してんだ?あん?授業始まっちゃってるだろうが。おじさん舐めてんのか?」


『すいません。ここの生徒さんの所為です。はい』


「チッ、絡まれたわけか。どんくせー女だなァ」

『転入生にどんくせーってなんですか』

「この学校では自分の身は自分で守るしかねェぞ。先生はどうすることもできませーん」

『は?』


先生はめんどくさいとでもいうように頭をボリボリかき、後ろ手で扉を閉めた。



そして、私を通り過ぎてダラダラと歩き出す。



『ちょ、波平先生。どういうことですか?』

「なみ、え?波平っていった?」

『え?違うんで…


いだだだ!え!?いだだ!』


「あーん?誰が波平だ、コラ。
サザ○さんか、あの厳格で素晴らしいお父さんか。一本毛がぴろぴろしてるお父さんか。」

『いだだ!!頭抜ける、頭抜けるゥウ!いだだだだ!』

「星海坊主先生だ、」


フンッと鼻を鳴らしながら、おもっくそ鷲掴みしていた私の頭から手を離した。



どうやらこの学校の生徒も先生も手がでちゃうタイプらしい。

私、今日何回痛い思いすればいいの。本気で頭抜けると思ったわ


優しく頭をさすりながら、星海坊主先生の後ろをついていった



「時間ねぇからな、歩きながら説明する。メンドクセーから一度しかいわねぇぞ」

『へーい』


「お前の担任は俺だ」

『…薄々と予感はしてましたけどね』


「誰が薄々だァアア!!!」


『ぎゃぁああ!話進まねぇー!!なんなの!なんでこんな敏感なの!
メンドクセーよ、この担任!』


第二回目の星海坊主先生の発狂。


掴みかかってきたこの人をなんとか説得させて、話を再開させた。



「この学校には女子は〜まぁ、何名かいるな。少ないけどな。
だから、男共はなにかと突っかかってくるかもしれねぇが、ま、なんとかしろ。殆どは雑魚だ」

『ほんと、何もしてくれないんですね、先生』

「これが俺の教育方針です」


要は、メンドクセーんですね



『というか、星海坊主先生。
今、どこにむかってるんですか』


「そりゃあ、教室だよ」

『え?今、授業はじまってるんじゃ…』

「どーせアイツら、まともに授業なんて受けちゃいねーよ」



なんじゃそりゃ。



さすが都内一の不良校だよ。


教師もまともじゃない。


暴力的だし、ハゲだし、すぐキレるし、適当だし、ハゲだし



ガツンッ!

『いだアっ!!!』


「今失礼なこと思っただろ。
オジさん敏感だからね。いい年して短気だから」


『…もう転校したい』


遠慮なく拳骨されて、ひさしぶりに感じた痛みに、思わず涙目の憂であった。



「あ、そうだ。優しい担任から一つ忠告しとく」

『ん?』


「残念なことにここは曰く付きの問題児が多くてな、下手なことすれば女でも海に沈めかねんイカれた奴らばっかだ」

『何それ怖い。
ヤクザ?ヤクザでもいんの?この学校』


「特に、

ピンク頭の三つ編み男には気を付けておけ」



『………三つ編み、…男?』


「聞いたことねェか?
暴力団予備軍とかなんとか呼ばれてる、ここらの学校の荒くれ者どもで構成された巨大組織"春雨"

その第七師団団長だ。


夜兎工最大の問題児だからな、目ぇつけらんねぇよう気ィつけとけ。」




"こっち。抱かせろよ"


頭に浮かんだあの人



坊主先生のいう人物と、頭に浮かんだ人物が同一人物じゃないことを、

本気で願った。





嵐の予感


「おいコラ、今 星海 抜かしただろ」

『先生、人の心読まないで』


また拳骨を喰らいました




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