アリスと暴君兎

□危険な微笑み
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『ちょ、阿伏っちゃん、頭邪魔』

「うるせぇな〜。今いいとこなんだ」

『まじ、本当、みえな…』

「オイオイまじかよ〜なんだよこの終わり方よォ〜」



『邪魔ァアア!!!!』


まるで耳を貸さない阿伏っちゃんに苛立ち、顔面に向けて消しゴムをおもいっきり投げつけた。



それなのに、

なんだこの反射神経ってくらいの反応で、消しゴムを見事にキャッチ。


「消しゴム投げるんじゃありません!痛いの!これ!ばちぃっ、あいたってなるの!」

『邪魔邪魔何度言わせれば気が済むんですかァア!

あんた漫画読んでるだけじゃん!!
頭くらい退かしてやってもいいじゃん!

なんでわざわざ横向いてマンガ読むわけっ!』

「お前さんに俺の読書の体制に文句つけられる筋合いはないね」

『このオヤジ、ほんと腹立つ』


「それにしても矢沢、マジメ授業受けてんのか?ダッサー」

『謝れ、今勉強している全世界の高校生に』


阿伏っちゃんはブツブツ文句を言いながらすこーしだけ頭をずらした。




…ほんっっとこの席、

ロクに授業受けれない。



阿伏っちゃん身長デカすぎて前の黒板が四分の三頭で隠れて見えやしないし、

席を交代しようとしてもしてくれないし。



…上司だけじゃなくて、部下もこんななんて。春雨最悪だわ



『っだめ!星海坊主先生!まだ消さないで!』

「授業聞いてたのか。」

『私の隣と前の奴と一緒にしないでください、不愉快です』


「失礼だな。俺だって、真面目に授業受けてるよ」


ふん。と、得意気に隣から聞こえた声。


ちらりと視線を向ければ、

授業中にも関わらず机上に大量のお菓子を出し、バリバリ貪り食っていた。


『…今、授業中ですど』

「うん。だからこうして席についてるんじゃないか」

『…どのあたりが勉強体制?』

「全部頭ん中に入ってるし。
教科書がないと理解できない憂と一緒にするなよ」

『小テスト0点のくせに。
脳みそに性欲しかつまってないくせに』

「否定はしないよ」


てへ。と舌を出したこの男に可愛さを感じたら負けである。



ササッ

随分この人に怯えず会話できたもんだ、と自分の変化に感心していれば、


黒板に書かれた字を消された。



…もう駄目だ。

絶対テスト赤点だ。


私は教科書をぱたんと閉じ、机に突っ伏した



「おーおー、ついに諦めたか。それが賢いぞ」

『阿伏っちゃーん。』

「なんだ」


『静かで勉強がしやすい場所おしえてよーう』

「図書館いきゃあいいだろ」

『場所知らないもん。案内して』

「やだなこった。
矢沢のためにエネルギー消費するなんて地球に優しくねぇ」

『どういうことだ、コラ』


私と阿伏っちゃんのラウンド2が開始されようとした時、




「おーいハゲー。」


神威が珍しく先生に声をかけた



「なんだ。死ね、アホ毛」

「俺これからちょっと出る」


口にいれたじゃが○こをパキッと噛んで、席から立ち、歩いてきた


…おおう、さすが。

こんな清々しいまでのサボリ、はじめてみたわ。



「堂々とサボり宣言かコノヤロー。シバくぞ」

「校内案内するんだよ」

「あん?校内案内だァ?誰に?」



すると神威は、




私を肩にどかっと担いだ。





『エ?』


予想外すぎる出来事に、何が起きているのか理解できなかった



「憂にだよ。
いいだろ?お前のメンドーな仕事片してやるんだから」


「ほォ。オメーにしちゃあ気ィ利くじゃねぇか」

「まぁね」


『いやいやいや!いいです!
神威団長様に校内案内してもらうほど、図書館の位置なんて知りたくないですゥウ!!!』


二人の会話で全てを悟った私は、言葉と体で大暴れ。



コイツに校内案内なんてしてもらったら確実に面倒くせぇえ!


100%面倒臭いことになる!

何故かは分んないけど、私の直感がそう言ってるもの!!



「憂、そんなに暴れたら褌(ふんどし)みえちゃうよ」

『誰が褌か!セクスィーなパンツはいてるわ!!!』

「へぇ、じゃあ見せてもらおうかな」

『え』


「じゃあ行ってくるよ」


『嫌だァアア!!!お願い、下ろしてぇええ!!!

おーかーさーれーるーぅう!!』


神威は憂の言葉など綺麗にスルーし、教室の外へ出ていった







危険な微笑み


「団長、キモいくらい笑ってたな」

「…あぁ」


.


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