アリスと暴君兎
□魔女の微笑み
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頭がズキズキと痛んで、足から力がだんだんと抜けていく
……信じたくない
信じたくないよ
私に嫌がらせをしていた犯人が和葉ちゃんだなんて――‐
「なにボーッとしてるの?憂」
『…つッ…』
「本当にわからなかったんだ?私が嫌がらせしてたのが。
私がどれだけ憂を妬んでいたか」
『妬む……?』
私がそう聞けば、和葉ちゃんは笑顔をやめて、大きな目を鋭く細めた
「憂は幸せそうに神威くんの話自慢気にしてさ。さぞ気分よかったでしょ?」
『自慢気になんか…』
「あーイライラする!はじめは優しく警告してやったのに鈍いあんたは気付く気配ないからさぁ。…いっとくけど、悪いのは全部神威くんに近付いたあんただから」
和葉ちゃんは優しかった声色をガラリと代え、
荒々しい口調へとなった
私を睨む目は本当に憎いものを見る目で。心臓に針を刺されたような痛みがはしる
…和葉ちゃんは、本当に神威のことが―――‐
「ねえ、憂」
今度は優しい声で名前をよぶ和葉ちゃんにわたしは返事をせず視線だけを向けた
「今、神威くんに二度と近寄らないって私と約束するなら、嫌がらせやめてあげてもいいよ?」
口角を不気味なほど吊り上げる和葉ちゃんは、
まるで―――‐
魔女の微笑み