「蒼ちゃん、これ配達お願いね!」 『はい!』 帝丹高校二上原蒼。 現役JK。 バイトなう。 鳴りやまない電話と、フル稼働のピザ窯に現実逃避したくなった。忙しさはピーク。 私のお腹の虫もピーク。ちくしょう、ピザ食べたい 全国チェーンのピザ屋のマークがはいった制服を着て、出来上がったピザをバイクに乗せたら、白いヘルメットを被る。 『いってきまーす!』 「いってらっしゃーい!!」 私の主な仕事はデリバリー。希少価値のある女子の配達員だ。 腹を空かせながら素敵な笑顔で美味しいピザをみんなにお届け☆(お金を払ってくれる人限定にね!)をモットーに、週五でバイクを走らせている。 法定速度を守った走行中に考えるのは、毎日同じこと。 今日のお客様に変なやついませんように。バイクでこけませんように。帰ったらピザ食べれますように。 今日だってなんら変わらない平凡な一日 この時は、迫り来る非日常にまったく気付いていなかった。 |