アリスと暴君兎
□アリスと暴君兎の攻防戦
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幻聴だと思いたい。
こんな綺麗な顔が、「抱かせろ」なんて本能むき出しのセリフを話すとは。
…本当、
恋愛小説をここまで忠実に再現しないでもらいたい。
魔法の○らんどへ帰れコノヤロー
『…すいません、すげー嫌です。てことで退けコノヤロー』
「あはっ。断られちゃった。」
三つ編み男は、穏やかな声のトーンとは違い、私の腕を捕む手にミシッと力を込めた。
すげえええええ痛い。本気で。
だが、このタイプのドSは痛がる顔が大好きな変態だ。
間違っても痛がる顔を見せちゃいけない。無表情を貫き通すしかない
これが、魔法の○らんどで得た知識。恋愛小説、片っ端から読んだ私の努力の結晶
負けるな私ィイ!
貞操の危機なのだから!!!
「本当心外だなァ。この俺の誘いを断る女なんて存在したんだね」
『顔がタイプじゃないんで。』
てか、この男、力が強すぎる。
必死で体で抵抗してんのに、なんともないような様子で、表情一つ変えずそれを抑え込んでいるのだから。
ハタから見れば、私が抵抗してるようになんてみえないだろう。
本当に、この男はラスボスだ
「えー。俺、結構万人受けする顔だと思うんだけどな』
『しらねーよ。退いてくれ、まじで』
「ねぇ、名前は?なんていうの?」
『ぜってー教えない。どけバカ』
なんとも噛み合わない言葉のキャッチボールに、三つ編みの男はケラケラと楽しそうに笑う。
…とりあえず私に向けられたヤる気をなくすしかない!
性的対象から面白い女へとシフトチェンジさせるしか、私の貞操を守る術はない。
「俺、結構君のこと気に入っちゃった。」
『私は嫌ってるけどな』
急に、
綺麗に孤を描いていた目が薄っすら開いて、鋭い視線が私を捕らえた。
ゾクッ──
いきなり、雰囲気が変わった。
「俺、セックスするのはお互い同意の元が好きなんだけど」
『何、言って…
「…まァでも。
嫌がる君を無理やり犯すのも、楽しいだろうな」
その言葉と同時に、引き寄せられたことで少し離れていた壁に、再び押し付けられた
『…っ!』
「あは。なんか、久々に本気でヤりたくなってきた」
逆効果────!!!!
現実の世界であそこまで拒否られちゃあ、さすがに萎えるだろ!
そんなタイプのドS知らねー!!
お母様──!!!!
両津先生──!!!!
あなたの可愛い娘、教え子の貞操が、ラスボスに奪われそうです。
アリスと暴君兎の攻防戦