アリスと暴君兎

□こんにちは、はじめまして
1ページ/1ページ




「憂〜!
もうお昼よ!おきて〜!!」


13時30分

下の階から聞こえる母の声に、まだ重い瞼をゆっくりと開いた



『おぇええ〜寒いぃいー…っ』


冬休み中の私は、夜遅くまで起きては昼過ぎまで寝る、というだらしない生活を送っていた



…それにしても寒い。布団から一ミリもでたくない

ぶるっと身震いして、被っていた布団を自分に巻き付けてから芋虫の姿のまま、枕に顔を埋める。



……あぁー、こんな怠惰な生活送るんじゃなくって、もーっと楽しい冬休みを送るべきなんだろうけど。


昨日六時までDVD見てたからなぁ……だめだ。ねむい。


夜更かしと、毛布の暖かさにうとうとしかけていれば。



バンッ!!!


「お!ひ!る!ですよ〜!!」


母が私の部屋にはいってきた


「憂!起きなさい!お昼くらいおりてきて!ご飯たべて!」

『…むーりぃいい〜寝るぅー』

「いや!お母さんにがんばって作ったのにー!」

『あとで食べる…』

「作ったうちに食べないと、愛情半減しちゃうでしょ!」

『しねーよ』

「もう!そんな口の聞き方して!!憂ってば、夜兎高いって余計口悪くなってるんだから〜!」

『うるさい〜寝かせて〜』


頭まですっぽりと布団をかぶり、母の声を遮断


しかし、
母も負けじと布団を引っ張ってきた


「憂〜!!」

『いーやー!!力強い!力強い!
お兄ちゃんと食べればいいじゃん!!』


「最近帰ってこないもん!」

『いい歳して「もん!」とか言うな!』


母と布団の攻防戦のせいで、完全に目が覚め、私はなくなく体を起こした。


私の一日はこうしてはじまるのである。



『…このくだり何回すんの?昨日も一昨日も…』


「憂も頑固ねえ。大人しく降りてきたらこんなことになりませんっ!

はやくきてねー?お母さん待ってるからねっ」


『はいはい』


パチンッとウィンクし、下へ降りて行く母

矢沢由衣 47歳である。



思いっきり背伸びをして、特に意味もなく携帯に手をのばした。もはや習慣か。


画面には12/31 13:37の文字


その日付をみてから、今日が大晦日ということに気付く。



ぜんっぜん、意識してなかったなぁ…

今年も今日で終わりかぁ〜


夜兎高に転入して、もう9ヶ月になるのか。

あっという間に過ぎたなぁ〜っ…



ひっそり過ごす予定だった学校生活も、神威やら阿伏っちゃん、云ちゃんによって崩されたし。

まぁ、神威たちがいなけりゃ、和葉くんとも出会えてなかったけど



放課後遊びも、友達とのお昼も、和葉ちゃん事件も、鍋パーティーも、その他色々遊んだし、

不覚だけど、夜兎高に転入できてよかった、なんて思える。



いい一年だったなぁ……



なんて、思っていたら家のチャイムが鳴った。




「はいはーい」

ぱたぱたと玄関に向かっていく母の足音


…早く降りないと、またあの人部屋に怒鳴りこんでくるだろうなぁ


携帯の画面を暗くし、ポケットにしまって部屋から出た時だった。




「憂────!!!!憂!!!!

おりてきて!今すぐおりてきてぇえええ!!」



さっき以上の母の大声


どうせ愛情が薄まるとかなんとか、意味不明のことだろう。


『はいはい、今降りますよーっと』


「憂ってばー!!!」

『ご飯たべるから!そんな焦んなくても食べるって!』


大晦日くらい大人しくできないのか、ウチの親は。と内心溜息をつきながら、玄関へと向かった。




『なに?どーし




「おはよう、憂。今起きたの?」






こんにちは、はじめまして

『えぇえ!!!神威!?』

母「なに?彼氏?彼氏?」



# # #

母 由衣初登場。

一気に日付けすっとばしすぎた
海とか夏休みとかかくの忘れてました。
泣ける。



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ