Royal Knights

□大いなる力には大いなる責任が伴う
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「……そうだな。端的に言えば、
 "死にたくなかったから"だな。」
「死にたくなかったから?」
「ああ。死ぬって事が、
 どうしようもなく怖かった。」
「え〜……。マグナにも
 怖いものとかあったんだぁ。」
からかう風でもなく、
単純に驚いた様子で返ってきた言葉に、
オレは苦笑いを浮かべた。
本当に、言ってしまえば
情けない理由だ。
「怖いものぐらい、
 誰にだってあるさ。」
ウルトラマンだってそうだろ?
そう言ってやると、
ヴィドラは嬉しそうに頷いた。
その顔があまりに可愛くて、
笑みが零れた。
「ね、マグナは、
 どーして死ぬのが怖いと思ったの?」
続いた問いに、オレは躊躇した。
これは話すと長くなるし、
到底明るい話じゃない。
あまり、
聞いて楽しい話ではないと思った。
だからとっとと終わらせてしまおうと、
再び簡潔に返した。
「目の前で
 死んでいく者達を、
 いっぱい見たからだ。」
「え……。」
話した情景を想像してしまったのだろう、ヴィドラの表情が曇った。
ああ、やはり言うべきじゃなかったな。
「大丈夫だから気にするな。」
言って、ヴィドラの頭を
優しく撫でてやった。
本当に、ヴィドラは優しい。
他人の痛みが、ちゃんと分かってる。
本当……。
どこぞの馬鹿にヴィドラの爪の垢を
煎じて飲ませたら、
あのKY直ったりしねえかな。
「マグナ、ごめんね?
 怖い事思い出させちゃった?」
「ん? いや、
 大丈夫だよ。昔の話だ。」
優しく返してその頭を
もう一度撫でてやれば、
ヴィドラは
安心した様な表情を浮かべた。
その表情にオレもホッとした。
やっぱり、ヴィドラはこういう風に
ほんわかと笑っていた方が可愛い。


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