Dark Area

□怠惰なボクの、唯一の
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ベルゼブモン。
ボクが大好きな、
唯一のデジモンの名前。
"ゼブル"と呼べと、彼は言う。
ベルゼブモンと
ベルフェモンでは
紛らわしくて仕方がないって。
そして彼は、
ボクの事を"フェゴール"と呼ぶ。
それが、ボクの元になった
悪魔の名前だと。

「フェゴール、ツーリング行くぞ。」
「何でボクも〜?」
「いつまでも
 引き篭もってたら
 キノコ生えんだろ?」
「生えないよぉ〜。」
「いーから来い!」
半ば強引に、
彼はボクを引っ張って行く。
それすら、彼の気紛れでしかないと、
分かっているから。
本当は
彼が誘ってくれるだけで嬉しいのに、
めんどくさいと言い放つ。
期待なんて、しない方がいい。
「お前はまた寝てて良いからよ。」
「うん。」
頷いてスリープモードに変形すると、
彼はボクの身体を
愛車の背中に括り付けた。
前に一度、背中に掴まって
走ってもらった事がある。
でもその時は、途中で掴まるのが
めんどくさくなってしまって。
手を離したら、吹っ飛んだ。
幸いな事に掠り傷程度で済んだのだが、
その時の彼の怒りようったらなかった。
何で手を離した、とか
死んだらどうする、とか。
怒りと不安が入り混じった様な、
それはそれは酷い顔をして。
それでもって最後には
"無事で良かった"、なんて
抱きしめてくれちゃって。
……ボクもちょっと、
アレは悪い事したかなぁとは思ってる。
それ以来、彼がボクを
ツーリングに連れて行く時は、
こうしてバイクの背に括り付ける。
ボクも一々落ちるのはゴメンだから、
大人しく括り付けられる。
じっとしてるのは、
めんどくさくなくって好きだしね。

走り出したバイクは、北へ向かう。
またアイツに
パンを貰いに行くんだろうな。
分かっているから、何も聞かない。
喋るの、めんどくさいし。


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