Dark Area

□怠惰の見た夢
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夢を見た。
彼が。
――ベルゼブモンが。
光に浚われて消えてしまうという、夢。
他者に言えば、ただの夢だと笑われる、
幼稚な夢。
けれど、ボクにとっては、
何よりも恐ろしい――悪夢。

目が覚めて辺りを見回すと、
さっきまで隣でご飯を食べてた筈の
彼が居なかった。
それが、不安を煽った。
あの夢が本当だったらどうしよう――。
そう思ったら、もう駄目だった。
不安で不安で堪らなくなって、
思わず部屋を飛び出した。

久々に。
本当に久々に走った。
足が重いとか、転けそうだなんて
どうでも良い。
ただ、彼に会いたかった。
――けれどやはり、
怠けっぱなしだった身体は
急な運動に対応できなくて。
自分の足につっかかって転んでしまった。
「ベルフェモン!! 大丈夫かい!?」
転んだら、近くに居たらしい
リリスモンが駆け寄ってきて、
助け起こしてくれた。
リリスモンは、優しい。
居てくれると、少しホッとする。
でも、やっぱり彼には及ばない。
「リィ……。ベルが、いない。」
「ベルゼブモンが?」
ボクの小さな訴えに、
リリスモンは溜息を吐いた。
困った奴だと。
「リィ、知らない?」
「ごめんね、
 心当たりすら浮かばなくて。」
申し訳なさそうに答えて
ボクの頭を撫でるリリスモンに、
ボクは小さくゆっくりと首を横に振った。
「大丈夫。」
言うと、ボクは
リリスモンから離れて歩き出した。
「ベルゼブモンに会ったら、
 アンタが
 探してたって伝えておくからね!」
言ってくれたリリスモンに振り返り、
小さくありがとうと答えた。
彼は本当に、何処に行ったんだろう。


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