Dark Area

□その笑顔が見てみたい
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ベルフェモンを抱えた状態で
食事をしていたベルゼブモンは、
腕に抱いたベルフェモンが
少し重たくなったのを感じると、
その顔を覗き込んだ。
「フェゴール? 寝ちまったのか?」
問いかけても返事は帰ってこず、
ベルフェモンからは
静かな寝息が聞こえてくるだけだった。
完全に寝入ったのを確認しながら、
ベルゼブモンは
ベルフェモンの食べた量を思い返した。
ベルゼブモンからしてみれば、
その量はまだ少ないように感じたが、
それでも普段ベルフェモンが
食べている量で考えたら
適当な量は食べさせられただろうと
考え、一つ息を吐いた。
驚くぐらいものぐさなこの仔は、
お腹が空いても
自ら物を食べようとはしないので、
ベルゼブモンは心配で仕方ないのだった。
安らかに眠るその額を優しく撫ぜると、
ベルフェモンは
ふにゃりとした笑みを浮かべた。
その表情に、
ベルゼブモンは何だかムッとした。
起きている時は、
決して笑ったりしないのにと。
溜息を吐いて、その額に
そっと口付けを落としてやると、
ベルフェモンは更に笑みを深め、
「ベル」と呟いた。
それに吃驚したベルゼブモンが、
パッと顔を離して
ベルフェモンを見やると、
彼はすやすやと眠っていた。
寝言かよと溜息を吐きながらも、
ベルゼブモンは何だか面白くなかった。
「だから"ゼブル"って呼べよ。
 お前だって"ベル"なんだからよ……。」
言って、ベルフェモンの額を
ピンと軽く弾くも、
起きる気配はなかった。
少し眉間に皺を寄せて唸ると、
また笑顔に戻った。
「ったく、どんな夢見てやがんだよ。」
夢の中の自分になら
笑いかけてくれるのかと、
若干おかしな嫉妬を抱えながら、
ベルゼブモンはまだ残っていた食料を
貪り食った。
どれだけ美味しい物を
持って帰っても笑わない
この仔をどうしたら笑わせる事が
出来るのだろうと考えながら。

目の前の食料を食べ尽くすと、
ベルゼブモンはぐっすりと眠ったまま
一向に起きる気配のないベルフェモンを
ベッドに置いて部屋を出た。
どうしたら、この仔を
笑わせる事が出来るのか、
リリスモンに意見を聞く為に。


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