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□十二神将主催の花火大会
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「花火って良いよね。」
八月某日、
中央神殿の図書館で
だべっていた最中、
突然呟いたクンビラモンに
サンティラモンとシンドゥーラモンは
不思議そうに首を傾げた。
「……クンビラモン?」
「いきなり何だよ?」
「祭とか暗がりとかって
 ムード上がるし、
 花火に照らされた
 恋人の美しさに見蕩れて
 そのまま草陰で
 ヤっちゃったりするらしいじゃん!?」
一人で盛り上がるクンビラモンに、
サンティラモンとシンドゥーラモンは
後退りながら顔を見合わせた。
「……クンビラモン、大丈夫か?」
「暑さで頭沸いちゃった?」
困惑気味どころか失礼な二人の物言いに、
クンビラモンは溜息を吐き出した。
「前々から思ってたけどさ、
 アンタらって結構失礼だよね。」
「いきなり変な事言う
 クンビラモンが悪いんだろ!?」
「そーだよ!! つかマジで何なのお前!?」
「……え、花火大会で
 良い雰囲気になるのって、
 よくある話なんじゃないの?」
「知らねぇよ。
 オレ花火大会とか
 行った事ねぇもん。」
「あー、南は花火大会自体
 滅多に無いもんな。
 ……ま、オレっちも
 行った事ぁねぇんだけどさ。」
「……は? 何で?
 シンドゥーラモン、
 ミヒラモンと付き合ってんでしょ?」
東じゃ夏の間は毎週のように
花火大会やってんじゃん!
と声を荒げるクンビラモンに、
シンドゥーラモンは溜息を吐いた。
「そーゆー問題じゃ
 ねぇじゃんかよ……。
 ミヒラモン、
 人混みとか嫌いだしさ。」
「……分かった。
 じゃあこうしよう!
 来週、極東で開かれる
 花火大会、皆で行こう!!」
「皆って……。この三人で?」
「そぅ! それプラス、
 全員彼氏誘ってさぁ!!」
クンビラモンの提案に、
サンティラモンとシンドゥーラモンは
え、と困った様子で顔を顰めた。


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