Kernel.2

□魔法の解けた朝
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Sandira side

十一月一日の朝。
目が覚めたら
元の姿に戻っていた自分の身体に、
オレは愕然とした。
腕が無い、脚も無い。
無い無いずくめの、ヘビの姿。
この姿の不恰好さに、改めて気付いた。
怖くて悲しくて震えそうになっていると、
不意に後ろから抱き締められた。
「な〜に湿気たツラしてんだよ?」
「い、インダラ、モン……。」
午の姿に戻ったインダラモンは、
いつも通りの笑みを浮かべて聞いてきた。
「……ごめん。オレ、今不便……。」
「不便?」
「手も、足も。なくなっちゃった……。」
言いながら、視界が涙で歪んだ。
この姿じゃ、出来る事も限られる。
不便で、不恰好で、使い勝手が悪いから。
他者の希望には、沿えない――。
「……お前はさぁ。
 何をまた気に病んでんだか
 知らねぇけど、
 あんま深く考え込むなよな。」
「でも……。」
「こないだも
 言ったと思うんだけどよ。
 俺はサンティラモンが
 どんな姿だろーと、大好きだぜ?」
「インダラモン……。」
「手足が
 あろうと無かろーと、
 俺がサンティラモンを
 愛してんのには
 変わりなんか無ぇからさ。」
言ってオレのほっぺの辺りに
軽いキスをしてくるインダラモンに、
顔が赤くなるのを感じた。
「インダラモン……。」
「大丈夫だから。」
言って強く抱き締めてくれる
インダラモンの腕の中は、
凄く居心地が良かった。

END
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