Kernel.2

□貰い物に妬いたモチ
1ページ/2ページ

デュナスモン達からの
結婚祝いが届いてから
というもの、
毎朝、起きると直ぐ
その鉢植えに水をやるのが、
サンティラモンの
日課となっていた。
しかしインダラモンは
自分をそっちのけで
他者から貰った鉢植えを
大事そうに育てている
サンティラモンが、
何となく気に食わなかった。
「またソレかよ、サンティラモン。」
そう声をかけながら、
インダラモンはサンティラモンを
後ろから抱き締めた。
「だって、
 せっかく貰ったんだぜ?
 ちゃんと育ててやんなきゃ、
 くれた相手に悪いじゃんかよ。」
「最近ほっといてる
 旦那さんにゃあ
 悪いと思わねぇのかよ?」
インダラモンの言葉に、
サンティラモンはキョトンとした。
「……何だよインダラモン、
 お前コレにヤキモチ妬いてんの?」
「悪ぃかよ。」
拗ねたような声音で答えられ、
サンティラモンは
思わず吹き出してしまった。
「……何笑ってんだよ?」
「だって……。
 オレ、愛されてんだな
 って思うと、何か嬉しくて。」
本当に、何とも嬉しそうな
笑顔を浮かべているサンティラモンに
インダラモンは溜息を吐いた。
「……今更気付いたのかよ。
 俺はずっと、お前の事
 一番愛してやってたんだぜ?」
「おぅ。
 ありがとな、インダラモン。」
「別に。
 ……なぁ、サンティラモン。
 今すぐ俺に
 目一杯愛されんのと
 俺の事ほっといて、
 一言も応えちゃくれねぇ
 その鉢植え世話すんのと、
 どっちが良いか選んでみろよ。」
問われ、サンティラモンは
どうしようかと考えた。
「……じゃあまず、
 飯食おうぜ?
 んで、オレ
 消化終わるまで
 鉢植えの手入れするから、
 消化が終わったら、
 オレの事目一杯愛してよ。」
「……今すぐ愛されろよ。」
「だって腹減ったもん。」
「……しょうがねぇな。」
言って溜息を吐くと、
インダラモンは渋々
抱き締めていた腕を放した。
「インダラモン何食う?」
「あー……。
 いいや、藺草食ってくる。」
「いや待てよインダラモン。
 寝床に
 敷いてあんの食用じゃねぇだろ。」
「いや、食える食える。」
「インダラモン……!」
「消化終わったら来いよ?」
言って寝室へ向かう
インダラモンの背中に、
サンティラモンは
思いっきり体当たりした。
「っ何そんな
 落ち込んでんだよ!?
 そんなにオレが
 飯食おうとしたの不満かよ!!?」
「ソコじゃ無ぇよ!!
 俺よりその鉢植え
 選んだのが
 不満なんだよ!!!
 ロイヤルナイツから
 貰った鉢植えが
 そんなに大事なのかよ!!?」
「なっ――何だよそれ!?」
「うるせぇ!
 可愛い奥さんを
 独り占めしたいと
 思って何が悪ぃんだよ!!?」
「はぁ――っ!!?」
叫ばれた言葉に、サンティラモンは
一拍遅れて赤面した。
その様子に、インダラモンも
何だか恥ずかしくなってきて
ほんのり頬を染めた。
「……インダラモン。
 ホント何、お前。
 ヤキモチとか独占欲とか。」
「……うるせぇ、悪ぃかよ。」
「悪いっつうか……。
 何か、恥ずぃ……。」
「俺だって恥ずかしいんだよ。」
「……。」
二人は互いに赤面した状態で
俯いたまま、暫く黙り込んでいた。


次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ