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□聖なる夜に指切りを
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12月24日、クリスマスイヴ。
アルファモンが持ってきた
サンタモンからの依頼で、
三大天使達もそのプレゼント配りを
手伝う事となった。

「ね〜、チョコモン
 本当に行かないの〜?」
「行かない。俺には、
 このデータベースを守る役目がある。」
つまらなそうなセントガルゴモンの言葉に
ケルビモンが淡々と答えると、
ブーイングが返ってきた。
それには若干イラッとしたが、
ケルビモンは無視を決め込んだ。

「まぁい〜や。
 チョコモンってば、
 昔っから真面目だもんね〜。」
珍しく寂しそうな表情をした
セントガルゴモンに、ケルビモンは
悪い事をしてしまったかと焦り、
何か声を掛けようと口を開いたが、
突然目の前に手を差し出され、
怯んでしまった。
何事かと顔を見やると、
セントガルゴモンはニッコリ笑って
差し出した手を少し上げた。
それは、小指だけを
立てた形になっていた。
「指切りしよっ!」
笑顔で言われた言葉に、
ケルビモンはパチクリと瞬きした。
指切りなんて、何年ぶりだろうか。

2人の間で交わすこの儀式は、
昔寂しがり屋だった俺の為に
始められたものだった。
寂しがり屋で泣き虫で、
甘えん坊だった俺。
片割れのグミモンが大好きで、
片時も離れたくなかったし、
離れていると不安でしょうがなかった。
それでも、別行動を
しなくてはいけない事もある訳で。
そんな時、グミモンは
"必ず帰ってくるから"と、
その約束として、
いつも指切りを交わしていた。
だが、一度だけ
指切りを交わさずに離れた事があった。
――あの時は悪いデジモンに
追われていたのだから、
そんな事をしている時間など
ある訳は無かったのだが。
それでもあの日、グミモンが合流場所に
帰ってくる事はなかった。


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