Royal knights.2

□ハロウィンの前準備
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「……出来たぞ。」
言って椅子を引くデュナスモンに、
ロードナイトモンは満足そうに笑って
御苦労と労い、引かれた椅子に座った。
それにまた溜息を吐くと、
デュナスモンはまた台所に戻って行った。
それがまた気に入らず、
ロードナイトモンは眉間に皺を寄せた。
「……デュナスモン。
 何を躍起になって
 作って居るのだ?
 他者にやる菓子なら、
 そんなに
 根を詰めるものでもなかろう。」
「……いや、違うんだ。
 今お前が食べてるヤツが、
 適当に渡そうとしてた物で、
 お前にやるのは、今作ってるコレだ。」
「……違うのか?」
「ああ。一応、こっちには
 少し、香りを加えてある。」
「ほぉ……。香り、か。」
「お前が今飲んでいる
 アイスティーに使った
 ローズティーの出涸らしを
 使ってみたから……。
 多分、それよりお前好みになる筈だ。」
「………出涸らし?」
デュナスモンの言葉に疑問を持って
聞き返してきたロードナイトモンに、
デュナスモンは少し
楽しげな笑みを浮かべた。
「出涸らしにだって
 風味は残るんだ。
 ただ捨ててしまう
 だけじゃ、勿体無いだろう?」
自分の為にと考えられたのであろう
その使用法に、ロードナイトモンは
優越感を感じて微笑んだ。
「なるほどな。確かに、
 これは少し物足りぬ感じだな。」
「だろう?
 そう言うと思って、
 他にもいくつか
 味の違うものを
 考えてはあるんだがな。」
「お前は本当に、
 料理だけはよく考えて作るな。」
「………まぁ、俺には
 この位しか出来ないからな。」
話しながら生地を整えたデュナスモンは、
器用に形を作ってオーブンへと入れた。
そのスイッチを入れると、
デュナスモンは一つ息を吐いた。
「デュナスモン、
 時間が開いたのなら此方へ来い。」
「……ん、ああ。」
答え、デュナスモンは素直に
ロードナイトモンのもとへ
歩いて行った。


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