Royal Knights

□友達だけど 大好きで
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だが、今日はクリスマスでも
ハロウィンでもなければ、
バレンタインでもない。
プレゼントなど、
貰ういわれはない筈だが……。
「何だ?」
「この間、助けてもらった
 お礼って、ピヨモンが。」
「くれたのか? 良かったじゃないか。」
お礼を貰ったなら、
もっと誇らしくすれば良いのに。
そう思い笑顔で言えば、
ヴィドラは力なく首を横に振った。
「違うんだ。オレに、
 じゃなくて。マグナに。」
「オレに?」
そういえば、少し前の任務で
ピヨモンを助けた事があったな。
そうか、あの時の仔がお礼を……。
ん?
それでどうしてコイツは
こんなに沈んでいるんだ?
オレを好きなのかもしれない、
と言っていたな。
それが一体、どう関係するんだ?
「ドゥフトモンがさ、
 これ……。
 ラブレターじゃないかって。」
「ら、ラブレター!?」
ラブレターという言葉を聞いて、
顔が熱くなった。
おそらく、今オレの顔は
真っ赤に染まっている事だろう。
いや、別にこれがヴィドラからの
ラブレターではない事は、
しっかり理解しているつもりなんだがな。
「マグナが誰かと付き合う
 なんて、嫌だって思っちゃって……。」
「え、」
「友達としては、
 こうゆうの
 喜んでやるべきなのに……。」
しょげた様子で言うヴィドラが可愛くて、
思わずその頭を撫でてやった。
すると、ヴィドラは漸く顔を上げた。
予想の通り沈んだ表情に、
努めて優しく問いかけた。
「それで、オレを好きだと?」
「うん……。
 ごめんな、オレ、友達失格だ。」
何だか調子が狂う。
いつも底抜けに明るくて
悩みもない様な顔してた奴が
こんなに悲しい顔をするのを、
初めて見た。
いつも、こんな風に
余計な事に思い悩むのは
オレの方だったから。
どうすれば、
またいつもの様に笑ってくれるだろうか。
「ヴィドラ、
 友達に失格も何もないだろ。」
なるべく優しい声音で言ってみたが、
ヴィドラは首を横に振った。
「あるよ。だってオレ、
 友達として以上に、
 マグナの事
 好きになっちゃったんだもん。」
「それは、オレと
 付き合いたい、という事か?」
「……分からない。
 でも、マグナが
 他の仔と付き合うのは、嫌だ。」
困った様に答えたヴィドラに、
思わず笑みが零れた。
本当に、ヴィドラは可愛い。
「オレも同じだ。」
短く言ってやれば、
ヴィドラは首を傾げた。
それに苦笑を浮かべ、
もう一度軽くその頭を撫でてやった。
本当は、
墓まで持って行こうと
思っていたこの想い。
伝わるなら、
伝えてしまっても良いのだろうか。


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