Royal Knights

□薔薇は赤い
2ページ/3ページ

「ただいま、デュナスモン。」
「ああ、お帰り。ロードナイトモン。」
自室に帰り着くや否や、
ロードナイトモンは持ち帰った花束を
デュナスモンに差し出した。
「土産だ。」
「……ああ、ありがとう。」
受け取ると、デュナスモンは
仄かに頬を染め、花瓶を探した。
貰った花はすぐ花瓶に生けるのが、
彼なりの礼儀であった。
花束を花瓶に挿すデュナスモンの手際を、
ロードナイトモンは
満足そうに眺めていた。
「……ロードナイトモン、
 俺からも渡したいものがあるんだが。」
花瓶に花を生け終えた
デュナスモンの言葉に、
ロードナイトモンは首を傾げた。
デュナスモンから渡したいものが
あるなど、本当に珍しい事であった。
どんなものをくれるのかと
内心ドキドキして堪らない
ロードナイトモンの前に
差し出されたのは、
小さな袋に可愛くラッピングされた
数枚のクッキーだった。
「デュナスモン、これは?」
「今日は、
 バレンタインだから、な。
 その……。チョコではないが、
 バレンタインの、プレゼントだ。」
緊張している様子で言った
デュナスモンに、
ロードナイトモンは目を丸くした。
こういった行事に疎いデュナスモンが、
バレンタインだからと言って
プレゼントをしてくれるなど、
思ってもみなかったのだ。
「それは、私にくれるのか?」
「……いらないか?」
言って引っ込めようとした
デュナスモンの腕を、
ロードナイトモンは慌てて掴んだ。
「私の為に作ってくれたのだろう?
 受け取るに決まっているではないか!」
言われ、デュナスモンはクッキーを
そっとロードナイトモンに手渡した。
「お前の口に合うかは、分からんがな。」
「大丈夫だ。デュナスモンの
 作ってくれたものが、
 私の口に合わぬ訳がない。」
ニッコリと微笑むと、
ロードナイトモンは早速
受け取ったクッキーを
一枚取り出して食べた。
すると、仄かな甘みと紅茶の香りが
口の中に広がった。
それは確かに、ロードナイトモンの
好みに合った味であった。
ロードナイトモンは
思わず笑って舌鼓を打った。
「うむ、やはり
 デュナスモンの
 作ったものは美味いな。」
「そうか?」
「ああ。デュナスモンも
 一つ食べてみると良い。」
「……いや、俺はいい。」
「遠慮などするな。
 お前が作ったものなのだからな。」
言って、ロードナイトモンは
一枚クッキーを取り出して
デュナスモンの顔の前に差し出した。


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ