Royal Knights

□雪の降った日に
2ページ/5ページ

メインサーバーの外壁までやってくると、
中庭の真ん中に
大きなかまくらが建っているのが見えた。
珍しく思って降り立つと、
アルフォースブイドラモンが独り、
せっせと雪玉作りに勤しんでいた。
「……アルフォースブイドラモン?」
声を掛けると、
アルフォースブイドラモンは振り向き、
首を傾げた。
「アルファモン?
 こんなトコで何してるんだ?」
「それはこっちの台詞だ、
 アルフォースブイドラモン。
 お前こそ、
 こんな所で何をしてるんだ?」
アルファモンが問い掛けを返すと、
アルフォースブイドラモンは
手元の雪玉に視線を戻した。
「えっと……。雪遊び?」
「雪下ろし用のスコップまで持ってか?」
本格的だなと、アルファモンは
かまくらの脇に突き立てられた
プラスチック製らしい
平スコップを見ながら言った。
「ああ、あれはドゥフトモンが
 暇なら雪下ろしもしといて
 くれって、貸してくれたんだ。」
「へぇ……。」
明らかに、ドゥフトモンは雪下ろしを
このアルフォースブイドラモン独りに
押し付けたとしか思えないが、
本人が特に気にしていない様なので、
アルファモンも
深くツッコミはしなかった。
「それで、雪下ろしはしたのか?」
「うん。ちゃんと最初にやったよ。
 イグドラシルも宇宙樹の枝が
 折れそうで怖いって言ってたしね。」
「そうか。」
宇宙樹とは、
このメインサーバーを覆う
外壁の事を言う。
それはメインサーバーの見た目が
樹木にそっくりなのと、
その根がデジタルワールド全域に
広がっているという神話に由来する。
以前テイマーの1人が
このメインサーバーを見て
「あれはトネリコ」そう言ったというが、
それが何を指すのか、デジモン達も
よくは知らなかった。


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ