Royal Knights

□赤い薔薇には愛情を
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「デュナスモン、
 私からも渡したい物があるのだ。」
言って、ロードナイトモンは
小さな袋に入った
チョコチップクッキーを
デュナスモンに渡した。
「……え、俺に?」
「お前以外に誰が居るというのだ。」
「あ、いや……。」
驚きながらも嬉しそうな顔をする
デュナスモンに、ロードナイトモンは
少し複雑な気持ちで溜息を吐いた。
あんなに美しいものを作った奴が、
どうしてこんな不格好なものを貰って
喜んでいるのか解らない、と。
「お前が作ったものに
 比べれば、遠く及ばぬがな。」
「そんな事……!」
「良いんだ。
 とっとと食べてしまえ。
 味は悪くない筈だからな。」
言ったが、デュナスモンは
貰ったクッキーに目を向けて
困った様にそれを握っただけだった。
砕いてしまわない様、
最低限の注意を払って。
「……何か、
 食べるのがもったいない。」
「勿体ない?」
「食べてしまえば、
 それで終わってしまうだろ?
 折角貰ったんだから、もう少し……。」
デュナスモンの答えに、
ロードナイトモンは
やはり解らぬと溜息を吐いた。
「食べねば腐るぞ?」
「ム……。」
ロードナイトモンが言うも、
デュナスモンは困った様に唸って
クッキーとにらめっこを
するだけだった。
それにロードナイトモンは
呆れた様に溜息を吐くと、
デュナスモンの手の中の
クッキーを奪い返した。
「ロードナイトモン!?」
「つべこべ言うな!」
言うと、ロードナイトモンは
奪い返した袋から
チョコチップクッキーを一つ取り出し、
デュナスモンの口に放り込んだ。
ロードナイトモンの突然の行動に
デュナスモンは驚いたが、
口の中へ入ったクッキーは反射的に
咀嚼して飲み込んだ。
「どうだ?」
「……甘くて美味い。」
デュナスモンが答えると、
ロードナイトモンは満足気に笑った。
「そうだろう? 当然だ。
 この美しい私が作ったのだからな。」
「ああ。」
「ほら、遠慮する
 必要はないぞ? もっと食べろ。」
言って、ロードナイトモンはまた一つ
チョコチップクッキーを取り出し、
デュナスモンの前に差し出した。
しかしデュナスモンはそれを受け取ると
小さく首を横に振り呟く様に答えた。
「後は……大事に取っておく。」
その回答に、ロードナイトモンは
盛大に溜息を吐いた。
全くもって分からない奴だと。
しかし、そんないじらしさも
また愛おしく感じた。


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