Kernel

□北の地からMerry Christmas
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「そうカリカリするなよ。」
「じゃあヴァジラモンは頭に来ないの!?
 こ〜んな寒空の下で働かされてさぁ!!」
まるで駄々ををこねる子供の様なそれに、
ヴァジラモンは苦笑を浮かべた。
「確かに寒いが……。
 見てみろ、この季節は空気が
 澄んでいるから、星がよく見える。」
言って空を見上げる
ヴァジラモンに釣られる様に、
クンビラモンも空を見上げた。
しかし、見えるのは何の変哲もない
星空だけだった為、クンビラモンは
眉間に皺を寄せて溜息を吐いた。
「ねぇヴァジラモン、
 アンタ一体いつから
 ロマンチストになったワケぇ?」
「まぁそう言うな。」
言うと、ヴァジラモンは腰を下ろして
クンビラモンを抱き上げた。
小さなクンビラモンは、
容易くその腕の中に収まった。
「偶には良いだろ、
 こうやってのんびりと空を見るのも。」
「仕事中だけどね。
 ……あぁホラ、早速一軒目だよ。」
「ん、ああ……。」
言うと、クンビラモンはピョンと
ヴァジラモンの腕から抜け出し、
袋からプレゼントを取り出し、
一つをヴァジラモンに投げて渡した。
「はいコレ、そこの
 ニャロモンにあげて来て。」
「おぅ。」
言うと、クンビラモンも
一つプレゼントを持って届けに行った。
その後ろ姿を見送ると、ヴァジラモンも
プレゼントを届ける為に
一旦ヴィカラーラモンから降りた。

眠っているニャロモンを起こさない様に
細心の注意を払いながら、
ヴァジラモンはその枕元に
そっとプレゼントを置いた。
「お前も、美しく正しい
 進化をしろよ、我らの様に。」
眠るニャロモンに、
まるで魔法でもかけるかの様に、
ヴァジラモンは優しく言って
その場を後にした。


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