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□純白が染まる時
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真冬の夜も更けた頃
雪が深々と降る街中を一人の男が歩いている。

「任務、完了しました。 これより集合地点に向かいます。」

男は驚くほどに蒼い、サファイアのような瞳を油断なく光らせながら、指輪に仕込まれた通信機に向かって呟く。

[了解しました、ジョーカー。 すぐ近くにクイーンもいますから、二人で一緒に向かってください]

「…了解」
ジョーカーは軽いため息をつくと、仕事上のパートナーを探そうと立ち止まり、辺りを見回した。
ヨーロッパの街だろうか。通りに並んだ家々は白い壁と同じ大きさで統一され、整然とした雰囲気を醸し出している。

ふと、人の気配を感じて振りかえれば、それと同時に抱きつかれる。

「…捕まえた」
彼に抱きついてきた銀の塊が顔を上げて薔薇のような微笑みを浮かべた。

「クイーン……」
ジョーカーは雪灯りに照らし出されたクイーンの美しさに息を詰まらせながらも銀が離れるのを待つ。
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