short story
□赤ちゃん拾いました@
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千鶴はいつもの様に屯所の前を掃除しようと箒を持って出た。
そして…
オギャア…オギャア…と聞こえる筈がない声がすぐ近くで聞こえた。
声のする方に向かうと…。
赤ん坊が布にくるまっていた。
驚き、赤ん坊を抱き上げた。
布の中からは何やら文が入っていて、広げてみると……
(……………!!!!)
取り合えずこのままではいけないと屯所の中へ。
オロオロしながら赤ん坊をあやす千鶴。
「あれ?どうしたの、これ?」
赤ん坊の頬っぺたをプニプニと後ろから触りながら千鶴の真後ろに立った。
「…沖田さん!…あ、あの」
説明しようと思った矢先、前方から…ガタッと木刀が落ちる音が聞こえた。
振り返ると斎藤と平助の二人が立っていた。
どうやらこれから朝稽古をする予定だったらしい。
「……っな…!」
驚きのあまり木刀を落とし目を見開いて驚愕している平助。
いつもは冷静沈着な斎藤も今回ばかりはポーカーフェイスを崩し動揺している。
そんな二人を見、何やら悪戯を思い付いた沖田は口元を緩めながら千鶴を後ろから抱き締めた。
「僕と千鶴ちゃんの赤ん坊だよ!!」
「「!!」」
「っお、お、沖田さんっ!!!」
抱き締められた恥ずかしさと誤解される言動で耳まで赤くなる。
「…うっ、うそだぁあーーーー!!」
屯所中に平助の声が響き渡り、その声の大きさに驚き赤ん坊は泣きわめいた…。
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