+Novel+

□カイロ
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季節の変わり目が、あやふやになってきて。

いつ暖かくて、いつ冷え込むかなんてわからないくらい。

予報も参考までにってな感じで信じてはみるけど…。



いやあ。


今日はかなり寒いですよ。





「檜佐木さん?」
「ん…ああ、悪い;」




しまった。後輩の前でぼーっとしちまうなんて。
俺としたことが…;



「どうした?吉良」
「いえ…檜佐木さんらしくないなって」
「何が…?」



俺らしくないって。ああ。
冬だからか…。
ノースリーブの俺一人寒がって…。

ん、いやいやそれは今始まったことじゃねえ。
毎年毎年俺は、こうだもんな?


じゃあ何だ…。



「いえ、まあ…」
「…何、さっさと言え」
「檜佐木さん、唇青いですよ」



えっ…!?

マジかおい…。



そりゃあ俺らしくないわ;



「大丈夫ですか?何だか動揺して…」
「してねえよっ;」
「でも、今日は結構寒いですから…流石に袖がないと青くもなりますよね」
「別に平気だよ、これくらい」



お茶を啜り、心配すんな、と言う。



「そういう吉良は寒くねえのか?」



そうだよ。
この俺が唇青いならお前の方が…。


ってそんなに青くなかった;



「ふふふ…実は現世でカイロを買い溜めしておいたので」
「カイロって…鉄を酸化させて熱を発生する四角いやつか?」
「そうです。可愛らしいイラストが描かれているものもあるんですよ?」



ほら、と言って懐から取り出した。



「あれ、四角くねえ…。丸?」
「可愛いですよね♪」
「女の子かお前は…;」
「背中にも貼ってあるんですよ++」
「はっ?!」



背中に貼る…!?
な、なにでだ?



「お前の背中って磁石で作られてんのか?」
「違いますよ;裏がテープ状になっていて貼れるんです」
「へー…すげえな現世は」



俺は他の事に金を…。


金欠なんて大袈裟だけど、先輩としてはかっこつかねえよな。



「檜佐木さんに」
「ん?」
「2枚あげます」
「え」



2枚?…2枚…??



「片腕ずつに貼ったら暖かいですよ」
「お、おう…」



吉良はそう言って、カイロを振った。
それから俺の腕をぐい、と引っ張ると、順番に1枚ずつ貼り始めた。



「はい、これで暖かいですよ♪」
「さんきゅ…」



何か…嬉しい。

吉良はちょっとしたところで不器用さが垣間見えるが、それが大きな優しさで。


照れくせえ…。





今日は寒い。


唇も青かったらしい。





でもなんか。


カイロ貼られた腕より先に、ほっぺたが熱くなっていく気がした。









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久々過ぎる更新でギャグと甘の境目が。。
ああいえ、何でもありません;
お気になさらず(ぉぃ

うちのイヅルくんはこんな感じです。笑


最後まで読んで下さり、ありがとうございましたvV

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