++++ワンダーフォーゲル++++ †++PARADAISE OVER ANNEX++†
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「ちょ、ちょっと待て……っ」
慌てた亮介に、女は振り返り、冷たく云う。
「あなたどうする気。逃げるの、逃げないの」
部屋の中には羅城がいる。
羅城を置いて、ここから出ていくわけには行かない。
それこそ命知らずな行為だ。
「え、ちょっと待てよ、あのさ、俺、この中に友達が……ッ」
女が一層眉を顰めたのが、気配で判った。
「ともだち? それはヒト?」
「ヒトって……え、わかんねえけど……」
「なんなのそれ。ヒトなら貴方と一緒に逃がしてあげるわ。そうでないなら知らない。ねえ、どっちなのか判らないの?」
「いやだから待てって、オイ」
途端、ぽう、と廊下の奥が光った。
「氷菜、どうしたの」
高い子供の声と複数の足音が、青白い光とともに近づいてきた。
「春遙――ああ、夏流も」
女が僅かに表情を緩めた。
光の中心に、大きな火垂灯をぶら下げた子供が二人立っていた。
揃いの着物を着て、袖を襷でからげている。
着物と同じように、二人ともよく似ている。
何処かで見た顔だ、と亮介はぼんやりと思った。
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