鬼の血を継ぐ

□七話
1ページ/2ページ










咲夜はあれからずっと自室で横になっていた
そして横になる咲夜の近くに腰を下ろす尚

「力はまだ入らないんですか?」

「…まぁね、だから太陽は嫌いなんだ…」

「日が出ていたというのに闇鴉まで使うからですよ」

「しょうがないだろう、殺すには…闇鴉のほうがいい
 月夜は元は治療専門だ」

「しかも昼間に鬼の力まで出してしまうなんて」

「煩い、それより」

「全ての羅刹、変若水の研究者も捕縛しました」

「…そうか、ならいい…」

尚はいつもの笑顔を浮かべ、立ちあがった

「少し出てきます、お土産何がいいですか?」

「豆大福、苺大福」

「クスクス、了解しました」

そういって尚は出ていった
それを横目でみて、出ていったのを確認すると
軽くため息をつき、窓から外を見る

トントンッ

「…どうぞ」

返事をすれば、開かれる扉

「!!、イ、イヅルさん!!」

「入っても、大丈夫かな?」

そこに立っていたのは不安げな表情を浮かべたイヅルが立っていた

「ぇ、あの」

「ぁ、霧裂くんに今聞いたよ
 今…身体に力入らないんだよね」

「…すみません」

イヅルは扉を閉め、布団で横になる咲夜の傍に腰を下ろした
そしてしばらく無言が続いた

「…あの…あの時は、ありがとう」

「あの時?」

「傷を、直してもらって…」

「あ、あぁ…当たり前のことをしたまでです
 …イヅルさんが無事でよかったです…」

「…君も、無事でよかった」

「……あの、すみません…
 今まで、ずっと姿を消してて…」

「大丈夫だよ、君にも色々…事情があったみたいだしね」

「…聞いたんですか?僕の、事」

「…うん」

「…僕が、鬼の一族だって事も」

「…聞いた
 でも、関係ないだろう?
 君は君だ、僕はまた咲夜と…」

イヅルはそっと咲夜の手を握った

「!………僕は…ずっと、鬼の血をひいているのをあなたに黙っていた
 あなたに、拒絶されるのが…怖かったから…
 だから、死神になっても…再びあなたに会うのが怖かった…
 なのに…そんな、僕を…また、受け入れてくれるのですか?」

咲夜はイヅルを見つめ、震える声でいった
そんな咲夜の手をより力を入れて握った

「当たり前だろう、
 君は…僕が嫌いになってしまったかい…?」

イヅルは笑顔で答えた

「そんなことありません!!
 僕は…ずっと…イヅルさんが…

 大好きです」

イヅルの手を握り返し
咲夜は紅い瞳から涙を流してそういった


















.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ