長編小説
□2話
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「えっとー、アールグレイとシトラスタルトで。」
「では、俺はブルーマウンテンをお願いします。」
ウェイターが一礼して下がって行く。
「今日は来てくれてありがとうございます。」
「あ、いえっ。このお店、前から来てみたかったので、嬉しいです!」
「そんなに固くならなくても大丈夫ですよ。」
目の前で笑っているのは、先日から付き合うことになった三浦くん。
同じ大学の同級なのだが年上のように落ち着いた彼の物腰に慣れず、私は対応に困っていた。
なんというか、付き合い始めて言うのもなんだが、彼は苦手なタイプなのかもしれない。
そう、付き合い始めたのだ、三浦慎と。
結局迷いに迷い、彼にはありのままの気持ちを伝えてみた。
『あなたのこと好きなわけじゃないけど、それでもいいなら。』
と。
その結果、三浦君は
『今は付き合おうと思ってくれただけで充分です。
これからよろしくお願いしますね。』
付き合おうと思った要因は貴方にあるんじゃなくて、私の欲望にあるんだけどなぁ・・・。
ちょっと罪悪感感じる。