長編小説
□8話
1ページ/6ページ
「へぇ、結構いろんなもんが出てんだな。」
なぜか私は中村と文化祭を回っている。
「……。」
「おい、聞いてんのかよ、水谷!」
「あぁ、聞いてる聞いてる。」
自分でも投げ遣りな返事だと思いつつも、元気が出ない。
「ったく、男一人でこんなとはな。」
「…誰もそんな話してないでしょ?」
「落ち込んでるくせに。」
「………。」
私は手に持っているグラタンホットドッグに目を落とす。
「忙しいんだから仕方ないって分かってる。」
視線は上げずにそう呟いた。
分かってるけど…。
なんか、もう、ほんと自分だめだな…。