夢書庫
□雨の日
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(あー・・・。)
放課後。
私が帰ろうとしたときいきなり大きな雨が降りだした。
もちろん傘は持ってきていない。
今日の朝の天気予報。
【降水確率0%!雲一つない晴天となるでしょう。】
「・・・嘘つき。」
私のつぶやきは虚しくも滝のように降る雨の中に溶けてゆくだけだ。
他の生徒もそばに寄ると飲み込まれそうな雨を避けてか玄関には私以外誰もいない。
・・・はずだった。
足音が聞こえる。
間違えるはずない。
あの人の音だけは。
真面目すぎるほど規則正しい足音は・・・
「のどか。」
「・・・。」
返事はしてあげない。
内心ちょっと安心して嬉しくなったのが
なんだか自分で許せなかったから。
「おい、のどか。」
「・・・聞こえてるもん。」
「なら返事をっ・・・。ぁ、いや、やっぱりいい。」
真太郎は私に怒鳴りかけて途中でやめた。