夢書庫*秀徳長編*

□朝食は君の隣で
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サルビア荘の朝は早い。

部活で忙しいバスケ部二人は
朝練のため6時にはもうすでに起床している。
私も彼らとの朝食の時間に合わせて早めに起きる。
今朝もキッチンの方からは芳しい香りが溢れている。

「おはよう、和君。毎日忙しいのにありがとね。」

「おはよ、のどかちゃん!俺は好きでやってるから気にしないで!」

いつも変わらぬ眩しいほどの笑顔。
高尾君は朝食と昼食を担当してくれている。
部活で疲れているはずなのに
毎日美味しいものを作ってくれて本当に感謝している。
一方、うちのエース様は朝から爪を整えながら
ソファーに座り、おは朝を見ている。
いや、見ているというよりかは
この天気予報のあとに始まる占いまで
垂れ流しにしているようにも思える。
エース様にとっては天気予報より自分の今日の運勢の方が大事らしい。

「おはよう、りま。」

「・・・あぁ。」

“りま”こと、緑間真太郎は私の彼氏である。
挨拶をしながら彼の隣に座るも、
そっけない返事しか帰ってこない。
今は爪の手入れに夢中なのだろう。

何かに夢中になっているとき、りまは無抵抗だ。

「りま。」

名前を呼び、私とりまのあいだを極限まで詰める。

(う〜ん。寝起きのりまの香り・・・)

お日様のような優しいりまの香りに内心身悶えながら
さらに体を寄せ、体重をかけてみる。
それでもがっしりとしたりまの体はびくともしない。
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