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□たつみ1/2
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「だから、向こうにいた時になんかよくわかんねー泉に落ちて、こんな体になったんだよ」



「達海、頼むからこれ以上俺の胃を悪くさせないでくれ…」






プールに落ちた達海はプールサイドへ降り立つとすぐに上着のジャージを脱いでタンクトップを脱ごうとし、若手が何名か大量出血を起こし大惨事になりかけたため、タオルを持った緑川と堺、後藤という常識人に捕獲され医務室に連行された。




体の説明をする達海にすでにゲッソリしているのは後藤で、緑川は楽しそうに笑っている。

堺は女がそんな格好すんな!と服を探しに出て行ったばかりだった。







「達海さん、女の時は口調に気をつけてください」


「俺は男だっての」





女なのにそんな口調じゃ行儀悪いぜ、と肩を震わせて笑う緑川に達海は唇を尖らせる。

バンッと医務室の扉が開くと堺ではなく、ジーノや杉江、石神や丹波という珍しいメンバーが入ってきた。







「タッツミー、ちゃんと下着はつけなきゃ駄目だよ?ほら可愛い服も急だったから安物だけど取り寄せたから」


「達海さん、とりあえず足とかくじいてませんか?箱入り前なのに怪我をしていたらいけませんから」


「カントクカントク、ちょっとこれ着てくださいよ〜っ」

「はははは、セーラー服ッ!」





順応が早すぎるのもかえって欠点というべきか、女の体の達海相手にキャッキャッと群がる選手たち。









「俺は両方の達海さんを受け止めます。だから結婚を前提にお付き合いしてください」




「…は?」







と杉江に関しては達海の手を取りさっさとプロポーズを始めている。

石神と丹波は完全にこのアクシデントを楽しみ始めているのか達海にセーラー服やナース服などコスプレを勧めていた。









「ったく、とりあえずこれ着てろ!」


「…達海さん、若手が持たないんで下着もちゃんとつけてください」




石神や丹波を一蹴して堺が達海にどこからか持ってきたジャージを放る。

その横では堀田が彼にしては珍しく苦笑した表情を作っていた。








「タッツミー、化粧とかはしないの?なんなら僕がしてあげようか?」



「……吉田クン論外。つかお前ら着替えるから出てけ」








しっしっと牽制するように達海が手を動かすと後藤によって選手たちが強制的に撤去される。

誰もいなくなった医務室で達海は服を脱ぐとジーノの置いてった下着を身に着け、ジャージに着替えるとそれから考え込むような顔をした。






「(…湯をかぶれば元に戻るってのは言ってないけど、彼奴らのことだからそれくらい察してるはず)」




となるとたぶん湯がある場所には(主にこの状況を楽しみ始めている)選手の誰かがいるわけで、医務室にいるのも着替えの時間が長いと痺れを切らした奴等が乗り込んでくるわけで。









…ウン、とりあえず今は危険な状況だよね。






達海は頷くと医務室の窓を開けた。

二階にある医務室の下は道路に面している道がある。









「…飛び降りても、死にゃしないだろ」








うん、と頷くと達海は飛び降りた。









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