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・ジノタツ
「付き合う?誰と誰が?」
「僕とタッツミーが。」
ジーノがいつも通りの笑みを浮かべながらさらりと答える。
ああこいつ疲れてんのかな、とか思いながら達海は部屋の入り口に佇んでいるジーノから手元の書類へと視線を戻した。
「タッツミー、聞いてる?」
「うん聞いてた。とりあえず病院行ってこい。精神科…いや脳外科あたりに」
「なんで僕が病院に行くの?」
「吉田くんの頭が沸いてるからです」
あー…あのDVDどこやったっけ、達海は眉間に皺を寄せるジーノなどに目もくれずにがさがさとDVDの山を漁り始める。
「タッツミー、僕のこと好きじゃないの?」
「なにいってんの?」
「……僕がタッツミーのこと好きだからタッツミーも僕のこと好きだと思ってた」
「なにその自分が好きな相手も自分のこと好きっていうメルヘン的な解釈。」
どこぞの王子様か。
…あ、王子か。
「言っとくけど俺別に好意とか寄せてないから。つかお前女好きじゃなかっ……なにしてんのジーノ」
達海がDVDの山から目当てのものを掘り出し、ようやくジーノへ振り返るとジーノは膝を抱えるようにしてしゃがみこんでいた。
額はぴったりと膝についていてぴくりともしない。
「どした、腹痛いの?」
「……」
「我慢しないでトイレ行ってこい」
「……違う」
グズ、と鼻を啜る音が聞こえ、再び手元の資料に視線を戻そうとしていた達海が止まる。
え、こいつ泣いてる?
「……僕が好きになったひとはみんな僕のこと好きだったんだ」
「なにその自慢」
「……はじめてだ、きらいだなんて、言われるの、」
「いやいや嫌いとまでは言ってないけどね、俺」
まるで自分がいじめて泣かせてしまったような雰囲気にさすがの達海も戸惑いを見せ、眉をさげた。
「タッツミー、こういう時は、どうすればいいんだい、」
「相手に好きになってもらえるよう努力すればいんじゃない」
なにこの状況。
自分を好きなやつにアドバイスしてるとか、何事?
こいつもしかしたら椿よりもヘタレかもしんないなーとか思いながら達海は手を伸ばし、落ち込んでいる泣き虫な王子様の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「タッツミー、すき」
「俺はオススメしないけど」
「……そんなふうに言われるのも、はじめてだ」
「はいはい泣くな」
ぐずぐずと鼻をならすジーノがなんだか面白くて笑ってしまう。意外すぎる一面だ。
「笑うなんてひどいよ、タッツミー!」
「にひひ、ひでぇ顔」
「う!」
ま、泣き虫な王子様も可愛いけどね。
達海がそう言えば、泣き虫な王子様は顔を真っ赤にして再び膝に額をつけると「…反則だよ、」と呟いた。
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ていうかお前泣き虫なんだな
…誰にも言わないでよ
最近気になるヘタレジーノ。
略してヘタジーノ。←
どうでしょうか。
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