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□歪曲した愛情表現
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ふぅん、アレが達海さんのお気に入り、か。
ETUの7番、椿大介。

随分と出世したんだね?
最初やった時はオロオロして頼りなかったのに。








ああ、達海さんがあんなに喜んでる。







俺の方が喜ばせられるのに敵チームだからってそれが不可能だなんて酷いよ。
それって贅沢だよね、椿君。








ああ、イライラする、潰してやりたい。






そうだ再起不能にしちゃおっか?
そしたら達海さんの眸に映る君は消えるでしょ?
早く消えてくれないかなぁ…あ、早く消してやりたい、の間違いか。













俺ね、人のお気に入りのものをグチャグチャに壊すの大好き。
それが大好きな人のものなら尚更!
ギッタギタに壊してあげちゃうね。





そんなもの映してないで俺を映してよ?
そのきれいな眸に、どこまでも、どこまでも。








さて、どうやって壊そうか?











おっといけない、笑み浮かべちゃった。






あんなにびびってる、臆病なんだ?達海さんのお気に入りは。
ははは、そんなにびびるんならさっさと達海さんの視界から消えてよ?










これはね好意的な笑みじゃないよ、椿君。








俺はね君を殺すつもりでそこに立とうと思ってるの。
君も殺す気でこないと達海さんの前でみっともない姿晒すことになるよ?







俺は勝たなきゃいけないんだ。








誇りの為なのは勿論、足のこともあるけどね、たぶんこれが一番の理由。
達海さんのお気に入りを滅茶苦茶に壊して、達海さんを俺のモノにしたいんだ。

だから、勝つ。









ああ、達海さん俺を見てもくれないんだ?







あんたはいつも椿君を見てて俺を見てはくれない。
達海さんの辛さを理解できるのは俺だけなのに。







あともう少し、いや、もう、かな?







あんたと同じ世界が見れると想うんだ。





足が壊れていくのにどうしてこの世界は美しくなっていくんだろう?
この気持ち、達海さん、あんたなら解るだろう?








俺を解ってくれるのはあんただけだよ。
(あんたを理解できるのが俺だけのように)










だから、俺を、俺の姿をその瞳にうつしてほしいんだ。

そんな奴うつしてないでさぁ、俺を、













…………やっぱいいや、
うつさないのならうつしてやるよ。























(覚悟を背負って芝の上に立つ姿も)

(壊れて機嫌を損ねる足を宥める姿も)

(遠ざかっていく世界を必死に手繰り寄せる姿も)

(誰よりも世界に魅了されて駆けていく姿も)









(昔のあんたにそっくりで目なんか逸らせられないでしょ?)










達海さん、俺はあんたに依ってるの。
だからあんたも過去の自分を俺に重ねて追憶に酔ってみてよ?










俺ね大好きな奴のお気に入りはとことん壊したくて、好きな奴を揺さぶるのも壊すのも大好き。

(それが俺の歪曲した愛情表現)










好きな奴の思考と視界が俺に囚われちゃうのなんか、サイコーだね。



(だってそれって)



















(俺の愛を受け入れてくれたってことでしょ?)











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