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□縺れ合った愛をほどくことなく絡ませ千切る
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達海→成田なのに
持田とタッツミーがヤっちゃう話。
つまり持田が報われないパターンと
思いきや誰も報われないパターン。
R-18なので無理な方はバックバック!
平気な方はごゆるりと↓
俺ね、昔好きな人がいたの
この人になら何でも捧げられるって、
この人が手に入るのならば何も要らないって、
喩え愛してくれなくてもいいからふれてほしいって、
そう焦がれるくらい、想う人がいたの
試合で戦って以来、毎回半ば無理矢理連れてくる居酒屋で、ある日の夜、酒を片手に横で達海さんが呟いた。
達海さんは少し酔っていたのかもしれない。
「へぇ、どんな人?」
「俺なんかよりも全然凄くて、俺はテキトーにあしらわれてたけど、本当はすごく優しい人」
こんな表情するんだな、と思ったのが率直な感想。
達海さんは滅多に感情を表には出さない。
何を考えているのかわからない表情で相手を惑わし続ける。
そんな人が、淋しそうな表情で恋をする人間の様な口調でぽつりぽつりと言葉を紡ぐ姿は、珍しいと思った。
「すごい好きだったよ、でも、言わなかった、言えなかったの。
俺はその人に幸せになってほしかったから」
その瞬間悟る。
この人はまだ、その誰かを愛していると。
俺の想いは、報われないということを。
次の瞬間、思考を支配していたのはあまりに滑稽な考え。
「じゃあさ、達海さん」
俺はね、あんたの為なら何でも捧げられるよ
俺はあんたが手に入るのなら何も要らないの
喩え、あんたが、俺を愛していなくても、
「俺がその人になって」
それが決して誰も報われない無意味な行為だとしても。
俺は愚者だと嗤われても構わないと想えるほど。
あんたにふれたかったの。
「達海さんを抱いてあげる」
上から目線で言ったのは俺に残されたせめてものプライドで、全く同じ想いを誰かへ抱く達海さんへの同情を悟らせるため。
達海さんの眸が揺らいだのを俺は見逃さなかった。
「出よっか、達海さん」
達海さんはただ俺を見つめ、もちだ、と俺の名前を呟いてから椅子を後ろへ退き立ち上がった。
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