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結末に自らの足が辿り着くことはない。
何故なら。
結末は自ずから近付いてくるものであるからで。
(喩えそれが幸せを具体化したものでも、例えそれが不幸せを具体化したものでも)
結末から逃れることは、できないのだから。
[王様は紡ぐ]
「もう、終わりかなぁ」
何がです?
ネクタイを結んでいた杉江が振り返り、準備室のソファに寝っ転がる達海は天井を仰ぐ。
「……お伽噺の結末の先は、その時にならないと解らない」
それこそが。
「【くだらない】」
達海は小さく呟くと両手で顔を覆った。
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「『記憶』から消された?、
『あんた』が『王様』を、」
あんたが。
胸ぐらを掴まれた後藤が足元に目を落とす。
「『あんた』の醜い感情なんかのせいで、『王様』は―――――、ッぐ、ごほ、」
「ザキさん!」
はなせ、赤崎を止めに入った椿が後藤を見る。
今や立ち上がり後藤を見る石神は冷めた目でそれを見ていた。
遠くから話を聞く持田とジーノの眸は動揺と驚愕に見開かれている。
『王様』が【殺される場所】に居合わせた【者】は皆、動揺していた。
「後藤先生、嘘を、」
「嘘じゃない、俺が達海を、」
おかしいなぁ、
笑みを浮かべたままの石神が後藤を見つめる。
「『あんた』は綺麗さっぱり、それこそ【無】だとばかりに『俺たち』の記憶から消えている」
達海に出会い、誰もが抱えた記憶を思い返すまでは。
気付くことなかった違和感。
「じゃあなんで『王様』を殺した『存在』が『記憶』から消えてないわけ?」
誰の記憶からも消えることが罰。
ならば何故、存在する?
答えは一つしか――――。
「『王様』を【殺した】のは『誰』?」
違う、何かがおかしい。
記憶が、おかしい。
そう、まるで。
交差した想いを一度断ち切り、
結び直そうとして、
縺れ合ってしまったかのような。
「……嘘を、ついている?」
魔法は等価交換。
(【思い出せない】からこそ、)
生まれ変わるのならば、と願った者は【呪い】をうけた。
王が消えればいい、と願った男は【罰】を背中に背負った。
(【気づかなければ】ならない)
記憶の中を探り気付け。
あの人はなんで殺された?
あの人はなぜ変わってしまった?
何を【待っている】?
「………!おうさま、」
椿が走り出す。
石神は依然冷めたまま――というよりも、何かに怒り狂う自分を抑え込むかのように――椿の背中を見送る。
赤崎は椿の後を追い、持田やジーノも柄にもなく走っていく。
後藤は唖然とした表情でその場に座り込んだ。
「……何が、」
「行きなよ、行かなきゃあんたは後悔する」
「後悔だと?」
「行けるなら行った方がいい。
俺には行く権利も、すくう権利もないのだから」
だって。
【笑み】を浮かべたまま、石神は今となっては【誰も知らない】それを口にする。
本来なら、怒りを露わにする表情も石神は【わらう】ことしかできない。
それが、罰だから。
「おうさまをころしたのは」
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