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小さな子供も眠った深夜の時間。
電車やバスの終着に乗れなかった者は皆、道路にむかい手をあげ一台の車に乗り込み帰っていく。
――都心の深夜。
そんな者たちを運ぶ不思議な不思議なタクシーのドライバーがいた。
決して昼はタクシーを運転せず、毎晩決まって運転をするわけでもなく――それこそ神出鬼没に――不規則に現れて気まぐれに運転をするタクシードライバー。
…にも関わらず乗車客が同じ時間帯に運転しているどのタクシーよりも多く、その時間帯の乗車客からなぜか人気な――不思議なタクシー。
「やっぱ今日は勝つと思ってたんだよな〜」
道路脇にタクシーを停め運転席を存分に後ろへと倒し、寝っ転がりながらスポーツ紙を読んでいる運転手こそがその不思議な不思議なタクシードライバー。
いつも炭酸の抜けた甘い缶ジュースを口に運んでは、スポーツ紙を読んでいる。
「…そんじゃまぁ」
深夜という時間になった頃、漸く運転手は座席を元に戻し――ハンドルを掴む。
「仕事すっかー」
今宵はどんなお客様を乗せるのやら。
不思議な不思議なドライバーが運転する不思議な不思議なタクシーは静かに発車した。
☆タクシードライバーぱろでぃ
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