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□May your love never end!
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拍手文「◇」の続編。
持田×なでしこタッツ
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たつみ、選手!
…誰、おまえ?
(ただの子供だった)
おれ、あんたがフットボールしてるすがた見るのがすき!
(無邪気だった)
大きくなったら、
(だから頷いてしまった)
「おれと結婚して!」
子供だなぁと笑いながら。
その無邪気さに胸を痛めながら。
だってその子供が結婚したいのは「選手」である自分で。
(足が止まったら女にもなれない自分ではなくて。)
だから子供の夢だとおもって頷いた。
「いいよ」
子供の笑顔。
ただ、微笑んだ。
「おまえが結婚できる年になって俺を養えるほどのオトコになったら結婚してやんよ」
(子供の夢に付き合った上での言葉だった。)
だから、忘れていた。
それから数十年の月日が過ぎ、一人の男が目の前に現れるまでは。
*
「達海さん、返事聞きに来たよ!勿論答えは
「NOだ、ストーカー」
海外移籍をして――なんと初試合にして最後になった試合で足をぶっ壊し、引退。
数奇なフットボール人生だったと追憶にふけるよりも先に勧められて監督をやってみたら大当たり。
手塩かけて育て上げたチームが強くなった時、日本から奇妙な男が訪ねてきた。
第一声は。
『あんたとの約束果たしにきました、俺と結婚してください』
時差ぼけで頭がおかしくなったのかと思い、その男をよくよく見ればなんと日本代表の選手だった。
日本のフットボールにも興味があったからチェックしていたが、まさか日本代表の選手が自分を訪ねてくるだなんて夢にも思っていなかった。
からかわれているのかと思いながら事情を聞けば、なんと数十年前に自分にプロポーズした子供ということが発覚。
忘れていた自分に男は「まぁこんなイケメンになっちゃったからしょうがないよね」と笑っていた。ちなみになんか笑顔がこわい。
「わぁ、またふられた!
これで50回目か」
「寧ろ俺はこの三日間で50回断られても求婚できるおまえの精神力を称えたいね」
つかなんで家知ってんの。
教えてないデショ。
家の扉の前で座っていた男は立ち上がると此方を見下ろして笑う。
やけに大人びた年下の男の笑顔に「あのガキがこれに化けるとはね」と小さく呟いてみせた。
「なに、やっぱ俺イケメンになった!?惚れた!?」
「子供ん時は可愛かったのにな」
なにそれ妬ける〜。
ぎゃははは、と笑う男がするりと腰に手を回してきた。
「はなせ」
「やだ」
「サツ呼ぶぞ」
「えー国際問題になっちゃう、ほら俺有名だから」
「うざい」
「…達海さん、」
男と体を向き合わされる。
真剣な目をした男はきっと彼のファンのたち女が見たら失神するんじゃないかってくらいの色気を帯びた顔と低い声で囁いた。
「結婚、してください」
「…そんなん俺に、!?」
首筋に寄せられた唇がそのまま耳元へと移動する。
「それともまずはカラダからお付き合い始めちゃおうか」
「……〜ッ変態!バカ!消えろ!日本に帰れ!!」
バチンッという音が響き、頬をおさえた男は先刻までの口調や顔を消し、へらりと笑った。
「ひどい言われようだなぁ」
まぁ、
「そんなとこも愛してるよ、達海さん!」
「愛してるとか軽々しくババアに使ってんじゃねーよ、バカ持田!」
うぉ、顔真っ赤。
意外だったのか目を丸めた男…持田に舌打ちすると家のドアを開け、素早く体を入り込ませて鍵をかける。
「あれ、達海さーん?」そう呼ぶ声が聞こえるが無視。
「……なんだよ、あいつ」
あいつが求めてたのは選手の自分で。
あいつが求めてんの引退した一人の女で。
「どっちでもない俺なんか、本当に愛せるわけないじゃん」
小さく呟いた言葉が部屋のなかにやけに大きく響いた。
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